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【社会】

「体が飛ばされた」シーサイドライン逆走 自動運転 車内パニック

負傷者が出た金沢シーサイドライン新杉田駅で、事故車両(左)を検証する捜査員ら=1日午後10時3分、横浜市磯子区で

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 泣き叫ぶ子ども、額から血を流す女性−。新交通システム「金沢シーサイドライン」新杉田駅で起きた逆走衝突事故で、土曜の夜の家路を急ぐ人たちが乗った車両内は突然、パニックに陥った。コンピューター制御の無人運転の車両が、逆向きに走り始めるという信じ難い事故に、乗客らは声を震わせた。 (福浦未乃理、鈴木弘人)

 「発車後五秒ぐらいして、体が投げ飛ばされる感じになった。泣き叫んでいる子どももいた」。事故を起こした車両の二両目に座っていた、横浜市金沢区の男性会社員(46)が、事故の瞬間を振り返った。隣の車両では女性が額から血を流していたという。男性も座席横のポールに左腕と左脚をぶつけ、軽いけがを負った。

 新杉田駅前には消防車数十台が駆けつけ、物々しい雰囲気に包まれた。ホームでは消防隊員と警察官ら計数十人が走り回り、乗客を誘導したり、現場を調べたりした。駅員は「ただいまシーサイドラインは全線、運転を見合わせています。復旧のめどは立っておりません」と利用者らに繰り返し説明し、他の路線やバスの振り替え乗車証を配っていた。

 駅近くに住む高校三年の男子生徒(17)は、救急車のサイレンを聞いて改札前に来ると、七〜八人が担架で運ばれるのを見た。「こんな事故は聞いたことがなく、不安です」と話した。

 近くを通りがかった磯子区のパート従業員小野田真由実さん(43)は、通勤で週二〜三回、シーサイドラインを利用する。「自動運転なのにこんな間違いが起こるとは」と声を震わせた。

◆運営会社社長 「想定外の事故」

記者会見する横浜シーサイドラインの三上章彦社長=2日午前0時17分、横浜市金沢区で

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 「重大な人身事故を起こしてしまった。けがをされた方には、本当に申し訳ない気持ちです」。運営会社の横浜シーサイドラインは二日午前零時すぎから、横浜市金沢区の本社で記者会見し、三上章彦社長らは深々と頭を下げた。

 三上社長らは車両が逆走することを「全く想定していなかった」と説明。事故を起こした車両は五月三十日に検査したばかりで「自動運転なのでヒューマンエラーではない。電気系統か車両の問題」との見方を示した。

◆原因特定まで添乗員配置を

<曽根悟・工学院大特任教授(鉄道工学)の話> 今回のような新交通システムの逆走事故は、過去に例がないとみられる。事故は始発の駅での、運転方向の切り替えを伴う場面で起きたと考えられる。運行システム上、もっとも気を使う場面での事故で、深刻に捉えるべきだ。ゆりかもめなどの全国各地の新交通システムは、基本的に共通の設計でつくられている。事故原因がはっきりするまでは無人にせずに添乗員をつけるなど、安全対策を講じた方が良い。

<新交通システム> 多くは自動運転を採用し、無人で専用軌道を走り、都市部で鉄道駅と住宅地などを結ぶ。1981年、神戸新交通のポートライナーが開業し、各地に造られた。大阪市営ニュートラム南港ポートタウン線では93年10月、住之江公園駅で暴走した車両が車止めに衝突し、200人を超える負傷者が出た。東京のゆりかもめでは2006年4月、車輪が脱落して立ち往生した。

 

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