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【社会】

<税を追う>医師に製薬マネー 年1000万円超 111人

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 製薬業界が薬の講演料や原稿料として医師に多額の謝礼を支払っている問題で、二〇一六年度に総額一千万円以上を受け取った医師が百十一人に上ることが、調査報道に取り組む非政府組織(NGO)などの分析で分かった。最高額は私立医大特任教授の約二千九百万円。全国に約三十二万人いる医師のうち、大学教授ら薬の選定・臨床研究に大きな権限を持つ少数の有力医師に、製薬マネーが集中している。 (「税を追う」取材班)

 分析したのは、調査報道に取り組む非政府組織(NGO)の「ワセダクロニクル(ワセクロ)」と、医師らでつくるNPO法人「医療ガバナンス研究所」。

 日本製薬工業協会(製薬協)の加盟社と関連会社計七十八社は一六年度、約九万八千人の医師に総額二百六十四億円を提供した。主な内訳は薬の講演会の講師謝金が二百二十億円、新薬のコンサルタント料が三十億円、製薬会社の冊子の原稿執筆料が十億円だった。

 受領者のうち合計で百万円以上受け取ったのは約四千九百人で、5%に集中していた。一千万円以上だった百十一人の約八割は大学教授で、うち九人が二千万円台。

 約二千九百万円と最高額の特任教授は、糖尿病が専門で、学会理事などの要職を歴任している。製薬会社二十社から一年間に、講師謝金約八十件を含む約百五十件の謝金を受けていた。

 講師謝金が集中するのは医療界で「キー・オピニオン・リーダー」と呼ばれる著名な大学教授や各学会の理事ら。病院で使う薬の選定や新薬の臨床研究で大きな権限を持つ。一回の講師謝礼は十万〜二十万円。

 中でも依頼が多いのは、患者数が三百万人の糖尿病や一千万人の高血圧など薬の処方が多い内科医だ。これらの薬は専門医だけでなく勤務医や開業医も処方するため、製薬会社が各地で医師向けに開く講演会の回数も多い。ワセクロなどの分析では、講師謝金などの収入が多い上位五十人は、三割が糖尿病、一割が高血圧の専門だった。

 製薬会社の説明では、医師は講演会で、勤務医や開業医らに臨床試験の結果や最新の情報を伝える。特に使い方を間違えると重い副作用が懸念される薬は、情報を広く医師に周知させるため講演会が重要になる。

 ある製薬会社の社員は「各社とも勝手な発言をしないような医師に頼むので、講師を依頼する人は限られる。スライドを製薬会社が用意することもある」と説明。別の会社の社員は「特定の会社とべったりした関係の医師もいる」と話す。

 薬代は一〜三割を患者が窓口で支払い、残りは税金や保険料で賄われる。医療ガバナンス研究所の尾崎章彦医師は「製薬会社と医師の関係の透明化は、癒着の防止や税金、保険料の使い道のチェックにつながる」と話している。

 

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