東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

引きこもり 葛藤分かって 25年の男性 川崎事件に心境「レッテル貼り怖い」

引きこもりの人の思いを語る小崎悠哉さん=3日、愛知県豊橋市で

写真

 川崎市多摩区で小学生らが襲われ20人が死傷した事件で、自殺した岩崎隆一容疑者(51)が「引きこもり傾向にあった」と報道されていることに、約25年間、引きこもり状態から抜け出せない愛知県豊橋市の小崎(こざき)悠哉さん(39)は不安を募らせる。「周りから容疑者と同一視され、余計社会に居づらくならないか」と、心境を本紙に語った。 (小沢慧一)

 「おまえも引きこもってないで働けよ」。自宅居間で、事件のニュースを見ていた父(71)が硬い表情で放った一言に、胸がえぐられる思いだった。「僕も病院に通いながら頑張っている」。声を振り絞り反論すると、父は何も言わず、再びテレビの方を向いた。

 小崎さんは、いじめをきっかけに、中学時代から両親と住む自宅に引きこもっている。高校も行っていない。適応障害などの精神疾患が影響しているとの診断もあり、通院しながら日々、求人誌などで仕事を探している。

 「このままではいけない」という葛藤の毎日だ。これまで、何度かアルバイトをしたが、職場での人間関係がうまくいかず、続かなかった。三十代に入ると、面談で経歴の空白時間を問題にされ、何十社も落とされた。買い物などでの外出時にすれ違うほかの若者と比べて自分を肯定できず、自殺することばかりを考えた時期もあった。

 岩崎容疑者が同居していた伯母に「自分のことは自分でやっている。引きこもりとはなんだ」と、反発したという報道を知り、不本意ながら共感した。小崎さんも自分をいじめた同級生や、表面的な評価で面接を落とす会社など、社会に不満を感じることもあり、事件後は岩崎容疑者と自分との違いに悩んだ。最近は事件の影響から、児童たちが刺されて路上に倒れている夢にうなされ、動悸(どうき)がして目覚める夜が続くという。

 ただ、自分も一般の人たちと同様に暴力が嫌いで、何があっても他人に危害を与えるようなことはしない。「抱えている問題は皆違うが、ほとんどの人が犯罪とは一線を引いて生きている」と訴える。「親はちゃんと子の話を聞き、引きこもりにならざるを得なかった今の姿も含め、認めてほしい」と強く望む。

 今回、小崎さんは本紙に自らメールで取材依頼を送ってきた。「危ないやつとレッテルを貼られるのが怖くて意見が言えなかったが、そんな自分を変えたい。もがきながらも、社会で働くことを目標に闘っている人がいることを世間に知ってほしい」

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報