東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

東京福祉大 留学生受け入れ停止 元教員「大学、学費目当て」

東京福祉大の留学生らが授業を受ける教室のある雑居ビル=11日、東京都北区で

写真

 東京福祉大(東京都豊島区)の留学生のうち、正規課程ではなく定員外の「学部研究生」が千人以上所在不明になっている問題で、昨年度の授業開講時点で新入生の九十四人がすでに欠席していたことが十一日、文部科学省の調査で新たに分かった。

 このうち六十六人が所在不明。同省は在留資格を得るために入学し、その後就労したり不法残留者になっているケースが多数含まれるとみている。文科省は、不法残留者を生み出すなどした責任は重大だとして当面新規の留学生受け入れを見合わせるよう同大を指導したことを同日発表した。

 「学部研究生」は同大独自の制度。二〇一五年度は三十九人だったが一六年度から千人以上を受け入れるようになった。しかし今回の調査で、一六年度からの三年間に所在不明になった全留学生千六百十人のうち、研究生が千百十三人と約七割に上ったことが判明。文科省の担当者は「学費を払ったのに授業に出ておらず、就学意欲があるとは思わない」と話す。

 同大は研究生について、通常大学入学に求められる日本語能力試験「N2」より下の「N3(日常生活に困らない日本語能力)」を応募要件とするが、実際は満たさない学生が大半。それでも一八、一九年度入試で九割以上を合格させた。

 文科省は、入学時に学費を払い続ける能力があるか精査しなかったことも問題視。教員一人当たりが受け持つ留学生数が一五年度に約四十人だったのが、一八年度には約百人になるなど、学生を支援する環境も不十分だったと指摘する。 

◆教室は雑居ビル 机の隣に台所

 研究生を中心に約千六百人の外国人留学生が所在不明になった東京福祉大。一昨年まで教員をしていた男性は本紙の取材に「研究生を無制限に集めた上、教室や教員を整備しなかった。大学は学費目当てで、金もうけしか考えていなかった」と告白した。

 ベトナム、ミャンマー、中国などから来日した外国人が経済や福祉の授業を受けるのは、東京都北区にある複数の雑居ビル。一階にはコンビニエンスストアや銭湯、飲食店などがそれぞれ入っており、大学の看板はない。「正規のキャンパスで収まらなくなり、急ごしらえで作ったもの。机の隣に台所があったり、トイレが汚かったり、大学の教室と呼べる環境ではなかった」と教員は明かす。

 授業は学生の日本語能力の乏しさから進行が困難で、元教員は「クラスの三分の一が途中から来なくなる」と指摘。一方で大学は、残った学生に対し、名古屋にある系列の専門学校への進学を勧めるという。「また二年間、学費を吸い取れるから…」

 途上国の外国人にとっても、「留学」の在留資格が一年間得られる研究生のメリットは大きい。学費は八十万円前後かかるが、アルバイトは週二十八時間まで可能。専門学校や大学に進学することで資格をさらに延長でき、卒業すれば日本で就職する道も広がる。

 こうした就労意欲につけこんだ受け入れが、不法残留や不法就労の温床に。昨年研究生として同大学に通ったネパール人男性は本紙に対し、「学費を稼ぎ、実家に仕送りをするためにはお金が足りない。二十八時間以上働いたこともある」と打ち明けた。

 そもそも留学生の受け入れを促したのは政府だ。〇八年に国際競争力向上を狙い、「留学生三十万人計画」を策定。研究生などの非正規学生を含め、当時の十二万人から昨年度は二十九万九千人まで増やした。

 外国人労働問題に詳しい弁護士の指宿昭一氏は「研究生らが就労目的で来日していることは明らか。三十万人計画により在留資格を緩和し、入国させてきた政府の責任は重い」と語った。 (原尚子、原田遼)

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報