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【社会】

「当選後、連盟へ3600万円」 参院選自民予定候補、17年に誓約書

田中昌史氏が日本理学療法士連盟と交わした誓約書の写し。「財政支援」として3600万円を払うとしている。連盟によるとその後、誓約書は結び直したという

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 夏の参院選の比例代表に、自民党公認で政治団体「日本理学療法士連盟」の組織内候補として出馬する田中昌史(まさし)・前連盟会長(53)が二〇一七年十月、当選した場合、議員在任中に連盟に計三千六百万円を支払う誓約書を交わしたことが分かった。公職選挙法は、投票の見返りに寄付などの利益誘導を約束することを禁じており、「公選法に抵触する可能性がある」と指摘する専門家もいる。 (井上靖史、藤川大樹、鷲野史彦)

 田中氏は公益社団法人・日本理学療法士協会理事も務める。本紙が入手した誓約書のコピーには、署名欄に、当時、連盟会長だった田中氏の名前があった。

 誓約書には「議員や候補者は、協会の求める政策課題の解決や組織の発展につながる政治活動を最優先する」と明記。当選後は、参院議員の任期六年のうち、毎年七百二十万円ずつ五年間、計三千六百万円の「財政支援」を行うとし、「公職選挙法、政治資金規正法、政党助成法などの関連法規を踏まえて適正に行う」と記していた。

 さらに「後援会活動の費用の一部(おおむね一千万円)を準備金として自己資金で用意し、準備金の金額を当選後の財政支援金から差し引く」とあった。

 連盟が発行する「連盟ニュース」によると、田中氏は誓約書を交わした当日の一七年十月六日、連盟中央役員会で参院選の組織内候補として承認された。翌年七月、自民党の第一次公認候補になった。

 連盟をめぐっては、今年四月の和歌山市議選で初当選した協会理事経験者が、和歌山県理学療法士連盟の複数の幹部に「当選すれば毎年百万円以上寄付させていただきます」と書いたメールを送ったとして、五月に市議を辞職。県警から同月に公選法違反(利害誘導)容疑で書類送検され、今月六日に在宅起訴された。

 複数の協会関係者によると、今月行われた協会の代議員総会で、この事件を受けて出席者から誓約書について「大丈夫なのか」と質問が出た。協会と連盟双方の会長を務める半田一登氏が「法的な部分を弁護士に相談し、適正に対応している」と回答したという。

◆連盟「立て替え費の返還」

 日本理学療法士連盟は本紙の取材に対し、田中氏への質問も含めてまとめて文書で回答するとし、「誓約書は、田中氏が当選後に行う国政報告会などの議員活動に際し、会場設営や移動など連盟の立て替え費用につき、田中氏が連盟に返還する旨を規定するもので、公職選挙法違反(利害誘導)に該当しない」と説明。「誤解を招くのではないかとの指摘があったので、現在では趣旨をより明確にするため、誓約書を改訂した」としているが、改訂内容は明らかにしていない。

 本紙は田中氏に十六日に直接取材したが、具体的に答えなかった。

◆利益供与の申し込み

<岩井奉信・日本大教授(政治学)の話> 当選後、日本理学療法士連盟に3600万円の財政支援をするということは「投票してくれたら3600万円出します」と言っているようなもので、利益供与の申し込みにあたると思う。連盟は選挙人の集まりであり、公選法に抵触する可能性がある。

<日本理学療法士連盟> けがや病気で障害のある人や要介護の高齢者に、運動療法や物理療法でリハビリテーションを行う理学療法士でつくる日本理学療法士協会の政治団体。協会の会員数は約12万人。連盟は2017年に約1600万円の収入があった。

 

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