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【社会】

生活保護世帯の健康管理 子の支援、自治体任せ

 生活保護受給者への健康管理支援が、二〇二一年から全国の福祉事務所で始まる。必要な人にケースワーカーが健康診断や受診を勧める事業だが、子どもへの支援は必須でなく、自治体によって差が出かねない状況だ。支援者の間では「親子とも支える仕組みが必要」との声が出ている。

 健康管理支援は、昨年の生活保護法改正で盛り込まれた新事業。厚生労働省によると、生活習慣病の重症化防止などが主な狙いで、四十〜六十四歳の人への支援が中心。子どもについては「自治体独自の取り組みになる」という。

 さまざまなデータから、生活保護世帯の子どもの有病率は高めとされる。東京大大学院医学系研究科の近藤尚己(なおき)准教授(44)らが行った調査研究では、中でもひとり親世帯で深刻なことが分かった。

 大都市近郊の二つの自治体の福祉事務所が持つ生活保護受給者(約七千人)の一六年一月時点のデータと、その後一年間の医療扶助レセプト(診療報酬明細書)データを分析。すると、ひとり親世帯の子どもは、そうでない家庭の子どもに比べてアトピー性皮膚炎が四・二五倍、ぜんそくが一・九三倍、アレルギー性鼻炎が一・五七倍多かった。歯がぼろぼろになる「口腔(こうくう)崩壊」と呼ばれる歯科疾患も二・一倍だった。

 近藤さんは「経済的な困窮に加え、親がいわゆるワンオペ育児を強いられ、生活上の困難さが子どもに及ぼす影響は大きい」と指摘。「健康は自己責任、と突き放しては何も変わらない。ひとり親世帯へは追加的な支援を検討する必要がある」と話す。厚労省の検討会は、乳幼児健診や学校での健康診断データと生活保護業務の情報を組み合わせて支援が必要な子どもを特定し、受診を勧奨するなどの方法を示している。同省は生活保護世帯の子どもへの支援に補助金を出しているが、昨年度に支援事業の補助を受けた自治体はわずか二つにとどまっている。 (五十住和樹)

 

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