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【社会】

<税を追う>薬審議委員に製薬マネー 医師ら6割 講演料など

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 医薬品を承認する厚生労働省の審議会や薬価の決定に関わる協議会の委員を二〇一六年度に務めた医師ら四十九人のうち、63%の三十一人が同年度、製薬会社から講演会の講師謝金や原稿料など計九千七百三十万円を受け取っていたことが分かった。最高額は薬価算定組織の委員長を務めた国立大教授の千二百十万円。委員は製薬会社の利益につながる権限があり、「謝金が審議に影響する可能性がある」と話す医師もいる。 (「税を追う」取材班)

 医師らが委員を務めていたのは、厚労省の薬事・食品衛生審議会で糖尿病や高血圧の薬などの承認を審査する医薬品第一部会(二十一人)と、抗がん剤や呼吸器系などの薬の承認を審査する第二部会(二十一人)、厚労相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に薬の価格案を提案する薬価算定組織(十一人)。このうち三人は複数の委員を兼任していた。委員は非常勤の国家公務員。

 調査報道の団体「ワセダクロニクル」とNPO法人「医療ガバナンス研究所」が作成したデータベースを基に、製薬会社の講演会の講師謝金や新薬開発コンサルタント料、原稿料の受領状況を本紙が集計した。

 謝金を受け取っていた三十一人の中で一千万円超が三人、五百万円超〜一千万円は四人、五十万円超〜五百万円は十六人。このうち二十五人が大学・大学院の医学部や薬学部の教授だった。受領者のうち十九人は現在も委員を務める。

 医薬品が承認され薬価が決まるまでは、多くの審議を経る。まず独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)が安全性を審査し、次に医薬品第一部会、第二部会の委員がPMDAの報告書を審議する。厚労相が承認すると、製薬会社が厚労省に薬価を申請。中医協の下部組織・薬価算定組織の委員が、厚労省の原案を基に算定案をつくる。中医協総会で案が了承されると、医療保険の適用対象となり薬価が決まる。

 保険が適用される新薬は年間六十〜七十件程度。新薬は特許などの関係で、市場に出てから八年程度は独占的に販売でき、その後は半値程度の後発薬(ジェネリック)が発売できる。ただ、第一、第二部会の審議で異論が出て医薬品の承認が遅れれば、独占販売期間が短くなる。また、薬価算定組織が決める薬価は、製薬会社の利益に直結する。

 企業利益を優先し、患者が不利になる「利益相反」を防ぐため、両部会と薬価算定組織の規定では、委員が過去三年度のうち、製薬会社から謝金や奨学寄付金などの受領額が五十万円を超える年度があれば、その会社や競合会社の議決に加われない。五百万円を超えれば審議も参加できない。

 厚労省はこの規定を理由に「謝金によって審議はゆがめられない」とするが、第二部会の委員の一人は「第三者から疑惑を生じさせかねない。利益相反のある者は審議に加わるべきではない」と指摘している。

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