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【社会】

子ども入所後の児相支援 施設9割「不十分」 虐待対応に追われ手回らず

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 虐待を受けた子どもらが生活する関東一都六県の児童養護施設に本紙がアンケートしたところ、回答を寄せた施設の九割が、児童相談所による入所児童へのフォローを「十分ではない」「十分とは言えない場合がある」とみていることが分かった。児相が緊急的な虐待対応に追われ、施設で暮らす子どもたちへの支援に手が回っていない実態が浮かんだ。 (岡本太、石原真樹、森川清志)

 アンケートは五〜六月、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、群馬、栃木の一都六県が所管する計百六十九施設を対象に実施。49%の八十二施設が回答した。

 児相による入所児童への支援が十分か質問したところ、「十分」はゼロで「だいたい十分」は九施設。これに対し「十分ではない」は二十一施設、「十分とは言えない場合がある」は四十九施設で、否定的な意見が89%を占めた。

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 厚生労働省は児相に対し、入所児童が施設での生活や将来設計などで最善の利益を得られるよう、担当の児童福祉司が施設を定期訪問するよう指針で定めている。施設への不満や進路などについて児童の訴えや考えを聞き、寄り添うことが期待されている。

 だが、アンケートの自由記述では「(児相が)虐待対応に追われ、施設にまで手が回っていない」「(入所児童への)対応は後回しになっている」など、訪問回数の少なさに不満の声が多く寄せられた。

 施設の職員数についても聞くと「全く足りない」「少し不足」が回答の65%に上った。厚労省の職員配置基準では足りず「子どもに十分なケアをすることは難しい」との訴えもあった。

 児相の手が回らず入所児童の支援が「施設任せ」となり、施設も職員数が不足する中、一部で職員による暴力や暴言など虐待が起きている。その背景について、複数の施設が「職員に余裕がなく追い詰められているのでは」と推測。「第三者の目が入らないので、閉鎖的な環境になっている」との指摘もあった。

 職員の専門性については「全く足りない」「あまりない」との回答が四割あり、「日々の仕事に手いっぱいで(専門性が)育つ前に疲れて辞めてしまう」との意見があった。運営資金では回答の四割以上が「厳しい」「あまりない」と答えた。

 厚労省によると、児童養護施設は全国に約六百施設あり、原則十八歳までの計約二万七千人が生活している。

◆社会が目向ける必要

<大阪府立大の伊藤嘉余子教授(社会福祉学)の話> アンケート結果から、施設で暮らす子どもが児童福祉司と話もできず、家に帰れるのか、いつまで施設にいるのか見通しがたたない不安な日々を送っている状況がうかがえる。千葉県野田市の事件などを契機に虐待されている子をどう救うかに注目が集まったが、保護した子をその後、児相や施設、地域でどう支え育てるかにも、社会がもっと目を向ける必要がある。

 

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