東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

企業型保育助成金詐欺 容疑の社長ら再逮捕へ

昨年2月に川崎大資容疑者が保育所を開所する予定だった商業ビルの3階。施設は一切なく、がらんどうの状態だった=福岡市中央区で

写真

 内閣府の「企業主導型保育事業」の助成金交付が決まったと偽り、福岡市のコンサルタント会社「WINカンパニー」社長の川崎大資(だいし)容疑者(51)らが信用組合から融資金約一億一千万円をだまし取ったとして、東京地検特捜部は勾留期限の二十三日、詐欺の罪で起訴する。特捜部は、川崎容疑者らが助成金自体も詐取した疑いがあるとして、近く再逮捕する方針だ。

 川崎容疑者ら三人は昨年十月、横浜市の信用組合が融資の条件としていた助成決定通知書を偽造。信組の担当者に偽造書類を送り、融資金をだまし取ったとして今月三日に逮捕された。

 企業主導型保育事業の助成金は、内閣府の委託を受けた公益財団法人「児童育成協会」が交付する。保育所整備費の四分の三を目安に、工事の進展度合いに応じて段階的に支払われる。関係者によると、WIN社は企業主導型保育事業の助成を二十数件申請し、うち十数件が採択された。川崎容疑者らは、工事が頓挫しているにもかかわらず順調に見せかけるため協会にうその写真を送ったり、工事費を水増しするなどして助成金をだまし取った疑いがあるという。

◆ずさん審査、不正の温床 内閣府、委託先任せ

 コンサルタント会社「WINカンパニー」社長の川崎大資容疑者は「全国一万人の園児を笑顔に」とうたいながら、複数の保育所をつくらず、助成金だけだまし取っていた疑いが出てきている。不正が入り込む余地を生んだのは、安倍政権の重要施策のずさんな審査態勢だった。 (山田雄之、小野沢健太)

 今月中旬、福岡市の繁華街・天神の商業ビルは飲食店などで活気にあふれていたが、三階はがらんどう。内閣府の委託を受けた「児童育成協会」から一億三千万円の助成金を得て、昨年二月に開所するはずだった保育所の建設予定地は、ほこりっぽい床に配線の束が無造作に放置されていた。

 WINカンパニーが助成決定を受けながら、開所に至っていない施設は福岡市南区にもある。開所予定は昨年度だったが、今も雑草が生い茂る更地。近くの三十代男性は「川崎さんが二年前、『保育所をつくるのでお子さまを預けてください』とあいさつに来たんだけどね」と苦笑いした。

 協会は川崎容疑者らが逮捕された二日後の今月五日、この二施設の助成決定を取り消した。関係者によると、助成決定を受けながら開所していない川崎容疑者絡みの保育所は、名古屋市や大阪市などほかにも複数あるという。

 企業主導型保育事業は、安倍政権が二〇一六年四月、待機児童対策の切り札として導入した。企業が従業員向けに整備したり、保育事業者が設置して複数の企業が利用したりする保育所の整備費や運営費として、認可施設並みの助成金が国側から受けられる。

 これまで全国三千八百以上の施設での助成金交付が決まったものの、「申請者の都合」や「未着工」により、少なくとも二百五十二施設が既に事業を中止していることが今年四月に発覚。会計検査院は同月、「助成金審査が不十分だ」と内閣府に改善を求めていた。

 内閣府の担当者は取材に「基本ルールは内閣府が作ったが、審査の実務は児童育成協会に任せている。書類審査に比重を置きすぎていたので、施設運営の見通しが甘い業者の申請も通してしまっていた。公認会計士などのチェックを業者に受けさせるよう、協会には指導している」とする。審査に問題があったことを認めつつ、責任は協会にあると強調した。

 だが、三千以上の施設をチェックする協会の担当職員は、三月時点でわずか七十一人。助成金審査の方法や監督態勢を協会に何度も尋ねたが、「答えられる職員がいない」「忙しい」と繰り返すばかりだった。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報