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【社会】

五輪に出よう 人生変えよう 高橋尚子さん、13途上国行脚

マダガスカルのラグビー女子代表選手たちに走り方を教える高橋尚子さん(右)=6月、アンタナナリボで

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 一年後に迫った東京五輪・パラリンピックで途上国の選手にも活躍してもらおうと、シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さん(47)=本社客員=が世界を行脚している。二〇一〇年からこれまでに訪問したのはアジア・アフリカ諸国を中心に十三カ国。練習環境が整わない途上国の多くの選手にとって五輪出場は高根の花だが、高橋さんの「夢を持って」という言葉に励まされている。 (吉岡雅幸、写真も)

 「五輪に出たい人、どれくらいいる?」。アフリカ大陸の南東にある島国マダガスカル。首都アンタナナリボで六月十三日、ラグビー女子代表選手たちに走り方のコツを教えた後、高橋さんが笑顔で語り掛けた。

 「私も最初はすごく弱かったが、絶対に五輪で良い成績を残すと思って練習した」と自身の経験を振り返った高橋さん。「他の人より毎日五分だけ多く練習するのが自信になった。皆さんの五輪出場を楽しみにしています」と励ますと、選手たちは目を輝かせてうなずいた。

 高橋さんは〇八年に現役引退後、個人的にケニアのスラムに運動靴を送る活動に携わったのをきっかけに、一一年に国際協力機構(JICA)のオフィシャルサポーターに就任。高橋さんの目を通して途上国の現状を広く知ってもらう目的で、JICA協力国に派遣され、現地に滞在する青年海外協力隊員が指導する選手たちと交流するようになった。

 アジアやアフリカ、中米の国々を訪問し、現地のアスリートに効果的な練習方法などを伝授している。スポーツキャスターや、東京五輪・パラリンピック組織委員会のアスリート委員長など忙しい仕事の合間を縫っての途上国訪問は、「私も五輪で人生が変わった。私と話すことで、遠い夢ではないと伝えたい」との思いが支える。

 一三年に中米エルサルバドルを訪れた際に交流した卓球の女子選手とは、翌年、国際大会出場のため来日した際に東京で再会した。「日本は女の子が一人で街を歩けるのがすごい。私たちの国も日本みたいになってほしい」と女子選手は驚き、高橋さんは「途上国の選手にとって、国際大会は新たな世界を知るチャンスになる」と話す。

 東京五輪・パラリンピックでの日本人の関心は、日本選手のメダル争いや成績が中心になるとみられるが、「途上国の選手たちが可能性を切り開く瞬間にも目を向けてほしい」と高橋さん。「海外で会った選手たちに再び五輪で会い、それぞれの国がどう変わったのか聞いてみたい」。東京での再会を心待ちにしている。

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