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【社会】

米「核の町」留学の高校生 動画に反響 「きのこ雲、誇れますか」

校舎に掲げられたきのこ雲のロゴマークの前で写真に納まる古賀野々華さん(右)=米西部ワシントン州リッチランドで(提供写真)

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 核産業が経済発展を支えた米西部ワシントン州リッチランドに、原爆のきのこ雲をロゴマークにする高校がある。福岡県大牟田市の高校三年古賀野々華さん(18)は同校に留学中の五月、生徒らが愛着を持つロゴに異を唱える動画を発信した。「雲の下にいたのは兵士ではなく市民でした。罪のない人たちを殺すことに誇りを持ってもいいのですか」−。

 動画はインターネット上で拡散され、反響は世界に広がった。賛同してロゴを批判する人もいれば、原爆投下を容認する意見も。原爆を「誇り」とする町で批判的な声を上げることに不安はあったが、周囲に後押しされ、勇気を振り絞った。

 リッチランドでは一九四〇年代、長崎に投下された原爆の原料プルトニウムが生産され、町の発展をけん引。「原子力の町」と呼ばれ、きのこ雲が町のシンボル的な存在となっていることを、古賀さんは昨年八月に留学した当初知らなかった。

 生徒たちが愛用するきのこ雲のロゴ入りのパーカを、自分も何の疑問も抱かずに着ていた。しかしある日、教師から「雲の中には亡くなった人がいる」と言われ、きのこ雲がモチーフだと知る。長崎原爆資料館で見た壮絶な被害を思い出し、ショックだった。

 米国史の授業や核施設の博物館の見学を通じて原爆に対する住民の考えを学び、自分の意見を伝えたいと思った。帰国を控えた今年五月三十日、校内向けの動画に出演。「自分にとってきのこ雲は犠牲になった人と今の平和を心に刻むもの」と訴え、大勢の人生を奪った原爆を誇りに思っていいのかと問い掛けた。

 同級生からは「動画がなければ、日本側の意見を知る機会は一生なかった」と好意的に受け入れられた。古賀さんの行動は地元紙でも報じられ、ツイッターで「ロゴを変える時が来た」などの意見も上がった。一方で、原爆が終戦をもたらしたとの肯定論もあった。

 六月帰国した古賀さんは「ロゴを変えたかったわけじゃない。日本人の思いを考えるきっかけになればいい」と語った。

 

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