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【社会】

日本育ちなのに 父が帰国、家族滞在資格更新されず

「みんなと一緒に日本で育ったのにいつまでも外の人でないといけない」と話すダクシニ・シリワルデナさん=千葉市中央区で

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 親の仕事の都合で来日した家族滞在の在留資格の外国籍の子どもらが、長年暮らした日本で自立したくても、進学や就職で壁に突き当たるケースが起きている。家族滞在の資格を巡っては、就労制限のない定住者資格への変更も可能だがハードルが高く、専門家は「親の労働力を必要なときだけ使い、その子どもたちが日本で人生を切り開くことを前提に考えてこなかった」と指摘する。 (黒籔香織)

 「ホーム(故郷)はスリランカではなく育った日本なのに」

 スリランカ国籍の千葉大文学部三年、ダクシニ・シリワルデナさん(21)=千葉市花見川区=は、長年、日本で教育を受けてきた。車の輸出に携わる父親に付いて二〇〇三年に五歳で来日。公立の小中学校と通信制の高校に進学し、日本人と同じ教育を受けた。

 一七年、大学進学の直前に、父親は事業に失敗して在留資格を更新できず、母親、妹と帰国。ダクシニさんの家族滞在資格も更新されなくなった。日本人と同様の一般推薦入試で合格したにもかかわらず、現在は留学生の在留資格で通う。

 ダクシニさんは、スリランカの内戦問題を研究するため大学院への進学を目指す。将来は、途上国支援に携わりたいと思っている。日本にとどまるには、大学院に合格して留学生資格を更新するか、研究者や技術者など専門知識を持った特定の仕事に就く必要がある。母国に戻っても、書き言葉はできず、先の見えない将来に「プレッシャーはある」と語る。

 法務省は一五年、義務教育の大半を受け、高校を卒業した家族滞在者に対し、定住者への変更を認める通知を各入国管理局に出した。一八年には小学校中学年までに来日し、高卒見込みで就職先が内定した家族滞在者を定住者に変えられる通知を示した。

 ダクシニさんは大学入学後に定住者への資格変更を申請したが、不許可に。手続きをした行政書士の秋山正紀さん(38)によると、理由は「父親が日本にいないため」という。

 当時、家族滞在資格は持っていたものの、父親は既に帰国。入管から詳しい説明はなかったが、通知の要件から外れると見なされたとみられる。

 秋山さんは「日本で育った彼女を受け入れる配慮が必要では」と話す。

 家族滞在の在留資格に詳しい丸山由紀弁護士は「子どもの頃から日本にいる人が在留資格を心配しないといけないのはおかしい」と現行制度を疑問視。定住者資格は日本への定着性やつながりを考慮した在留資格だとし「運用を柔軟にしても良いのでは」と話す。

 外国人を支援するNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の高橋徹さん(66)は、ダクシニさんのような事例以外にも「そもそも外国籍の子どもの進学率が低いため、定住者への資格変更の対象から、はじかれてしまうケースも多い」と指摘している。

<家族滞在の在留資格> 日本での留学や就労する資格を持つ外国人の家族(配偶者と子ども)に与えられる。週28時間以内の就労制限と、奨学金の対象外となる場合がある。法務省の統計によると、資格者は2006年12月末現在で9万1344人だったが、18年6月末現在は17万4130人。うち半数を占めるのは0〜18歳で、親と来日した子どもたちとみられる。

 

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