東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

京アニ放火 父「最高の誇りや」 仕事熱心だった色彩担当・石田奈央美さん

アニメの関連本などを机に並べ、取材に応じる石田奈央美さんの両親=京都市伏見区で

写真

 京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第一スタジオで三十五人が亡くなった放火殺人事件では、社員石田奈央美(なおみ)さん(49)も犠牲になり二十六日に告別式が営まれた。「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」をはじめとする多くの作品に携わり、場面に合わせた色使いを決める重要な仕事を長年担当。伏見区の自宅で同居していた父親(83)は「最高の誇りや」と涙ぐんだ。

 二十六日までに取材に応じた両親によると、事件が起きた十八日は普段と変わらない朝だった。午前八時半ごろに自宅を出た奈央美さんに、母親(78)は「雨が降るし、傘を持って行きや」と声を掛けた。「『ふーん』と返事をした。それが最後」と母親は振り返る。ニュースで火災を知り、奈央美さんの携帯電話に連絡したが、一向につながらなかった。

 「安否が確認できない」。京都アニメーションの担当者から恐れていた連絡が来たのは十八日午後九時半ごろ。奈央美さんは京都府宇治市の第二スタジオにいることが多かったが、この日は違った。

 子どものころから絵が好きで手先が器用だった奈央美さん。「絵は複雑なものではなく、シンプルな方がごまかしがきかない」と語っていたのを両親は覚えている。母親は「口数は少ないけどすごく真面目。根性があるんやろうな。ほんまに仕事熱心」と感じていた。

 奈央美さんは高校卒業後に勤務していた病院を辞めて、アニメを学ぶため学校に入った。卒業と同時に二十二歳で京都アニメーションへ。高校の吹奏楽部を舞台に少女二人の青春を切り取ったアニメ映画「リズと青い鳥」(二〇一八年公開)についての冊子で「日常パートでは透明感や光を感じられる色を心がけました」と述べていた。

 京都府警が殺人容疑などで逮捕状を取った青葉真司容疑者(41)はやけどの症状が重く、大阪府内の病院に入院中。奈央美さんの母親は「何の落ち度もない人に…」と言葉を詰まらせ、父親は「人間じゃない」と怒りをにじませた。

 奈央美さんが携わった作品は多くのファンに愛されている。「悩みから救われたという人がいる。親にしたらうれしい」。母親は涙ぐみながらアニメのグッズや関連本を眺め「あの子の生きた証しや」とつぶやいた。

 京都府宇治市で二十六日に営まれた告別式に参列した奈央美さんの幼なじみという京都市の女性会社員(49)は「事件はすごくショックだった。なぜこんなひどいことができるのか。また一緒に遊びたかったな」と無念さをあらわにした。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報