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【社会】

政府、10月消費増税の準備加速 「信任」盾に家計痛み続々

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 参院選で「信任」を得たと言わんばかりに、家計に痛みを強いる施策が続々と動きだす。政府は二カ月後に迫った消費税増税の準備をにわかに加速。年末に向け、社会保障の自己負担を増やす改革案も検討する。来年は高所得者の給与や年金への増税実施が決まっており、家計に負担が怒濤(どとう)のように押し寄せる。

▼通告

 「急を要するもの以外、消費税増税に関する国民向けのキャンペーンは八月以降にする」。政府広報を束ねる内閣府が五月初旬、関係省庁の担当者約三十人を集めた非公開会議で言い渡した。会議の招集自体が異例な上、資料の用意もない突然の「通告」だった。

 十月に予定する消費税率10%への引き上げでは、飲食料品への軽減税率導入やキャッシュレス決済時のポイント還元など、消費の落ち込みを防ぐ対策が盛りだくさんだ。自治体から対象者への通知が必要な施策もあり、周知活動は「早ければ早いほどよい」(政府関係者)。各省内で準備が進むさなかだっただけに、会議に出席した職員は「七月の参院選が終わるまで消費税に注目が集まることは何もするな、というお達しだと皆受け取った」と打ち明ける。

 消費税が争点の一つとなった参院選は、与党が改選過半数を確保し、幕を閉じた。「三度目の増税延期があるのではないか」とやきもきしていた財務省は、安堵(あんど)に浸る間もなく、今度は「準備は間に合うのか」(幹部)と小売り現場などでの混乱回避に気をもむ。

▼下方修正

 その傍らで動き始めたのが、参院選が終わるまで鳴りを潜めていた社会保障改革だ。年金分野では、公的年金財政の健全性を五年に一度チェックする「財政検証」が八月中にも公表され、来年の通常国会での法制化に向けた議論が始まる。

 介護分野は、ケアマネジャーが作成するケアプラン(介護計画)の有料化を検討。医療では、後期高齢者の病院窓口での自己負担を現在の原則一割から二割に上げることや、軽症受診での上乗せ負担導入、薬剤の自己負担引き上げという「負担増三セット」(財界関係者)が、年末の決着を目指して議論される。

 念頭にあるのは「団塊世代が七十五歳になり始め、社会保障給付がさらに膨張する二〇二二年度までに給付と負担のバランスをとる」(財務省幹部)という考え方だ。茂木敏充経済財政担当相も「社会保障の抜本改革を進め、景気もしっかり回復させる」と強調する。

 だが、米中貿易摩擦などを背景に経済情勢はおぼつかない。政府は二十九日に発表した経済見通しで一九年度の実質国内総生産(GDP)成長率を0・9%とし、一月に見積もった1・3%から下方修正を余儀なくされた。

▼つぎはぎ

 景気の鍵を握るのは個人消費だが、来年一月には子どもや介護が必要な家族がいない年収八百五十万円超の会社員や、所得の高い年金受給者らは所得税が増税となる。たばこ税が二二年十月にかけて段階的に上がるほか、第三のビールの増税も「消費税増税後」(財務省関係者)を見据えて二〇年十月に設定されている。

 第一生命経済研究所の試算では、現在と比べた二〇年度の世帯当たりの負担増は四万円に上る。つぎはぎ的に積み重なる負担の数々に、政府内からも「もっと先まで給付と負担の将来像を固めて、国民への説明責任を果たすべきではないか」(厚生労働省筋)との声が上がっている。

 

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