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【社会】

<くらしデモクラシー>あいちトリエンナーレ あすから「不自由展」 「政治性」で規制の作品

「表現の不自由展・その後」で展示される「平和の少女像」2点。ミニチュア(右)は2012年、東京都美術館から撤去された=2015年、実行委員の岡本有佳さん提供

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 政治色が強いなどの批判を受け、かつて美術館から撤去されたり公開中止になったりした芸術作品を集めた展覧会「表現の不自由展・その後」が八月一日から、愛知県美術館(名古屋・栄)で始まる。美術評論家や編集者ら有志でつくる実行委員会が二〇一五年に企画し、東京都内のギャラリーで開いた展覧会を受けた。今回は「その後」として、一五年以降に規制された作品を加えた。十月十四日まで。

 アートの祭典「あいちトリエンナーレ2019」の企画の一つ。さいたま市の公民館だよりに掲載を拒否された俳句「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」や、旧日本軍の慰安婦を象徴する「平和の少女像」など十七組の出品が決まった。

 美術界では近年、政治性などを理由に作品の撤去、改変が度々起きている。今回は、それらの経緯の解説と併せて展示し、来場者に「表現の自由」を問いかける。

 少女像は韓国の彫刻家キム・ソギョンさん(54)と夫のキム・ウンソンさん(55)が制作。一二年に東京都美術館で展示されたが、来館者の指摘をきっかけに撤去された。二人は「日本をおとしめる意味はなく、平和の象徴として作った。政治と芸術は切り離せない。直接見て、意味を感じて」と話す。

 一四年に政治家の靖国神社参拝に対する批判の文書などを貼り、同館に撤去や手直しを求められた造形作家中垣克久さん(75)=岐阜県高山市出身=の作品や、一七年に美術家岡本光博さんが沖縄の米軍機墜落を題材に描き、住民の反発で一時公開中止となった風刺画「落米(らくべい)のおそれあり」などもある。

◆美術の論理示せるか

<「情報社会の情念−クリエイティブの条件を問う」などの著書がある美術批評家・黒瀬陽平さんの話> 公立美術館では、ほとんど前例がない美術展。だが規制にもいろんなレベルがあり、すべてを「表現の自由」でくくるのは、危険な面もある。規制された作品を集めただけでは、スキャンダリズムと変わらない。公共施設や公金を投じた事業である以上、市民の疑問やクレームに答える義務が発生する。作者や主催者が美術としての論理や価値をしっかり示すことができれば、成功したと言えるだろう。

 

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