東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 8月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

<つなぐ 戦後74年>核なき平和 若き祈り 「高校生平和大使」ミュージカルに

高校生平和大使を描いたミュージカル「Signs〜微力だけど無力じゃない」の稽古に励む俳優たち。手前左から2人目が主役の岩田華怜さん=横浜市西区のスタジオで

写真

 核兵器廃絶を願う若者が署名を集めて国連に届け、被爆国の思いを世界に訴え続ける「高校生平和大使」。これをテーマにしたミュージカル「Signs(サインズ)〜微力だけど無力じゃない」が八日から東京都内で上演される。「もう核におびえるのはやめたいんです。恐怖で築く平和は、まやかしでしかないから…」。本番を前に、高校生らを演じる俳優陣の稽古にもひときわ熱が入る。 (宇佐見昭彦)

 高校生平和大使は一九九八年、インドとパキスタンの核実験をきっかけに長崎から始まった。平和大使以外の高校生らも協力し、核廃絶の署名集めを始めたのが二〇〇一年。運動は全国に広がり、昨年は十五都道府県から二十人が国連欧州本部(ジュネーブ)を訪問、約十一万人の署名を提出した。

昨年8月、ジュネーブ軍縮会議事務局の担当者に署名を提出する高校生平和大使ら=スイス・ジュネーブで(共同)

写真

 ミュージカルの主演は元AKB48の女優岩田華怜(かれん)さん(21)。役作りで長崎駅前で地元の高校生らと一緒に署名集めも体験した。「みんな堂々と、自信に満ちあふれていて圧倒された」

 岩田さんは十二歳の時、東日本大震災で仙台市の自宅が被災、避難生活を送った。「震災も原爆も人々の命を一瞬で奪った。がれきの山を見て、仙台が、東北がどこかへ行っちゃったと思った。『長崎がどこかへ行ってしまった』という主人公のせりふとつながっている。戦争は人災。私たちの行動や気持ちひとつで止められる。そのことを特に同世代の人たちに見て感じてほしい」

 脚本と演出を担当するのは、劇作家の田中広喜(こうき)さん(54)。何度も長崎に足を運び、取材を重ねてミュージカルに仕上げた。主人公が平和大使に応募して成長していく物語に、被爆時の長崎の描写や平和大使の二十年の歴史も織り込んだ。

 「署名集めを始めた〇一年に米中枢同時テロが起きた。こんな運動しても無駄じゃないかと高校生の間で議論になったが、『自分たちの力は小さいけど無力じゃない』と声が上がり、運動が続いたんです」。それが劇の副題になった。

 「誰もが幸せに生きたいのに、争いやいさかいはなくならない。こんな世界を君たちが変えるんだ!」と高校生を励ます熱血教師役は、広島出身で被爆三世の俳優別所ユージさん(45)。「戦争を風化させず、被爆体験を若い人たちが受け継いでいくことの大切さを伝えたい」と意気込む。

 八〜十二日、渋谷区桜丘町の「渋谷区文化総合センター大和田」で計八回上演。前売り券は八千円〜学割五千円。問い合わせはミュージカルアートステージ=電03(5738)7681。主催の劇団「ミュージカル・ギルドq」のホームページでも予約できる。

<高校生平和大使> 長崎市の市民団体が中心になり、公募で選んだ高校生を国連に毎年派遣して核廃絶を訴えている。集めた署名は通算170万人分を超えた。2014年からは毎年8月にジュネーブで開かれる国連軍縮会議の本会議場で演説する機会も得たが、一昨年と昨年は演説に反対する国があるとの理由で見送りに。昨年はノーベル平和賞の候補にもなった。今年は今月18〜23日、16都道府県の23人がジュネーブを訪問する。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報