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【社会】

憲法裁判記録 8割超を廃棄 自衛隊・長沼ナイキ、「宴のあと」訴訟 検証不能に

 自衛隊に一審札幌地裁で違憲判決が出た長沼ナイキ訴訟や、沖縄の米軍用地の強制使用を巡る代理署名訴訟をはじめ、合憲違憲などが争われた戦後の重要な民事裁判の記録多数を、全国の裁判所が既に廃棄処分していたことが分かった。代表的な憲法判例集に掲載された百三十七件について共同通信が調査した結果、廃棄は百十八件(86%)、保存は十八件(13%)、不明一件だった。判決文など結論文書はおおむね残されていたが、審理過程の文書が失われ、歴史的な憲法裁判の検証が不可能になった。 

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 裁判所の規定は重要裁判記録の保存を義務づけ、専門家は違反の疑いを指摘する。著名裁判記録の廃棄は東京地裁で一部判明していたが、全国規模で捨てられていたことが分かったのは初めて。米国などでは重要裁判記録は原則永年保存され閲覧できる。

 元原告ら当事者から「重要な記録で残すべきだった。残念だ」などの声が上がっている。

 裁判所の規定は「史料または参考資料となるべき」裁判記録を事実上永久保存の「特別保存」とするよう義務づけるが、特別保存は今回調査した中では六件のみ。他に一件が国立公文書館に移送、それ以外の経緯で十一件が現存し、計十八件が保存されていた。判明した多数の廃棄が適切か否かについて最高裁は「(廃棄は)各裁判所の個別の判断」とし回答を避けた。

 裁判記録は訴状をはじめ原告や被告が出した書類、法廷やりとりの記録など全てをとじた文書で、裁判所の規定では通常の民事裁判の場合、確定や和解後に一審の裁判所が五年間保存し廃棄する。重要裁判にもそのまま適用し特別保存を判断してこなかった形。判決文は別扱いの五十年保存。

 調査した百三十七件は「憲法判例百選第六版I・II」(有斐閣)掲載の判決から、検察庁が保管する刑事事件を除いた。

 廃棄が分かった中には長沼ナイキや沖縄代理署名のほか、有田八郎元外相が三島由紀夫の小説「宴のあと」でプライバシーを侵害されたと訴えた訴訟、米国人弁護士が提訴し裁判の一般傍聴者のメモ解禁につながった法廷メモ訴訟、法律を違憲とした広島薬局距離制限訴訟や国籍法違憲訴訟、公立中での生徒の思想信条の自由が論じられた麹町中内申書訴訟などがある。

 政教分離が問われた津地鎮祭訴訟や、空港周辺住民が夜間飛行差し止めなどを求めた大阪空港訴訟の記録は特別保存されていた。

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