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【社会】

羽田新ルート 急展開に「住民不在」 爆音、落下物…不安尽きず

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 羽田空港に着陸する国際便が東京都心上空を通る新飛行ルートの運用が、来年三月末に始まる公算が大きくなった。航空機の騒音や落下物への不安から、渋谷・品川の両区議会は三月、計画見直しなどを求める決議を出していた。地元住民らからは「住民不在の判断だ」などと抗議の声が上がった。 (市川千晴)

 新ルートでは、南風時の着陸時、航空機は埼玉県側から都心に入り十三区を通過、渋谷付近は高度約六百メートル、品川区のJR大井町駅では同三百メートルを飛ぶ。来年の東京五輪・パラリンピックに向けて羽田空港の国際便を増やすための計画だ。

 国交省は二〇一七年から一九年二月まで一都二県計六十三会場で住民説明会を開催してきた。だが品川区議会は三月二十六日、「落下物や騒音への不安、国の説明不足で新ルート案は容認できない」とする決議を全会一致で可決していた。

 「羽田増便による低空飛行ルートに反対する品川区民の会」共同代表の秋田操さん(80)は「こんなだまし討ちのようなやり方は通用しない。国策とはいえ、区長には住民や議会の声を国にきちんと伝えてほしかった」と訴えた。

 同じく三月二十六日に「計画の見直しなどを求めた」意見書を全会一致で可決した渋谷区議会。田中匠身区議は「見直しは譲れない、区議会で対応を協議したい。渋谷区の上空では、航空機が着陸に向けて車輪を出すタイミング。氷の塊や部品の落下に対する不安は大きい」と話した。

 「航空機の都心低空飛行に反対する江戸川区民の会」代表の太田美音(みね)さん(71)は「悪天候時には一昨年、約五千回の着陸がありエンジンの爆音で、テレビは音量をあげないと聞こえない。新計画では飛行機数が五倍超になると聞いている。これ以上ストレスを与えないでほしい」と訴えた。

◆国交省が青写真

 来年三月二十九日に羽田空港新飛行ルートの運用を始める場合、国土交通省は今月下旬にも「飛行検査」を実施したい考えだ。

 飛行検査は、航空機が新ルートで指定された航路に沿って飛ぶため、必要な電波を正しく捕捉できるかを試験する。飛ばすのは小型の軽飛行機で、騒音や機影の見え方は実際の運用時よりも小さい。飛行検査は十二月まで行われる。

 さらに地元自治体などの要望をふまえ、国交省は来年一月末から三月上旬ごろまで、実際に乗客を乗せた航空機を新ルートで着陸させる「試験飛行」を実施したい考えだ。

 新ルートは国交相が決裁すれば運用を始められるが、国交省はまだ開始すると公式には表明していない。各航空会社に飛行ルールを知らせる「航空路誌(AIP)」に新ルートを反映させるまでに、運用開始を公に説明することが求められる。AIPの試験飛行前の更新は十二月五日、来年一月二日などに予定されている。 (皆川剛)

 

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