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【社会】

「大宅壮一文庫」求むパトロン 庶民生活の記録、雑誌80万冊収蔵

明治からこれまでの雑誌が所蔵されている大宅壮一文庫の書棚。かつて東京新聞が発行していた「週刊東京」もあった=いずれも東京都世田谷区で

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 庶民の生活を知る上で役立つ情報を提供してきた雑誌専門の私立図書館「大宅壮一(おおやそういち)文庫」(東京都世田谷区)は、運営を安定させるための支援組織「大宅文庫パトロネージュ」を発足させた。インターネットの普及などで利用者が減る中、生き残りをかけて支援者を広く募る。 (岩岡千景)

 文庫は、テレビ文化の負の側面を端的に言い表した「一億総白痴化」や「クチコミ」など数々の造語を生んだ評論家の大宅壮一さん(一九〇〇〜七〇年)の蔵書を引き継ぎ、七一年に開館。明治時代からこれまでに発行された約一万二千六百誌、八十万冊の雑誌を収蔵する。いわば「およそ百五十年分の庶民生活の記録の集積」(事務局次長の鴨志田浩さん)だ。

 記事はキーワードや人名で検索でき、マスコミ関係者や研究者、学生らに利用されてきた。ジャーナリストの立花隆さん(79)が、一九七四年に「文芸春秋」に発表した「田中角栄研究」の執筆にも活用された。

 ところが近年、インターネットの普及や出版不況などから利用者が減少。九〇年代には月平均で二千人以上いた入館者は昨年度に千人を切り、財政難による運営危機が続く。

 収益は二〇〇九年度から八年連続の赤字に。そこで一七年度、ネットで資金を集める「クラウドファンディング」で寄付を募集し目標の五百万円を超える額が集まり、黒字に転換。昨年度も支出削減などでかろうじて黒字を確保したが「恒常的な形で個人や企業、団体の方に幅広くサポートをお願いしたい」(専務理事の鳥山輝さん)と、今回の組織を発足させた。

 呼び掛け人はタレントのデヴィ夫人(79)が代表。エッセイストの阿川佐和子さん(65)や元東京都知事で作家の猪瀬直樹さん(72)らも名を連ねる。「パトロネージュ」は、支援や応援を意味する英語とフランス語で、デヴィ夫人が名付けた。

 デヴィ夫人は一九六七年に大宅さんと「文芸春秋」で対談。当時、情勢が混迷を極めていたインドネシアのスカルノ大統領(一九〇一〜七〇年)夫人としてバッシングのただ中にあったが、対談記事が夫人の真実一路ぶりや賢明さを伝えて世間の見方が一変。そうした縁から文庫からの代表就任依頼を快諾したという。

 支援会員になるための会費(寄付)は個人が一万円以上、企業・団体は十万円以上。老朽化が進む施設の大規模改修も検討中で、会費収入は年間二千万円以上を目指す。会員は入館料が無料になり会報が届くほか、個人会員には「美しいバラの花は野茨(のばら)の根の上に咲く」という大宅氏の言葉を記した会員証がもらえる。会費額により、イベント優先受け付けや「研究員」の肩書、名刺贈呈などの特典もある。

 申し込みはホームページ上で必要事項を記入し会費を納める。申込書の取り寄せもできる。

<大宅壮一文庫> 日本初の雑誌図書館。入館料500円で15冊まで、追加料金を払えば1日最大105冊まで閲覧できる。貸し出しはしていないが、コピーや撮影ができる(有料)。開館は午前10時〜午後6時。日曜・祝日休館。現在は公益財団法人が運営し、理事長の大宅映子さんは大宅壮一さんの三女、理事の三枝和(いずみ)さんは映子さんの長女で壮一さんの孫。支援組織に関する問い合わせは、同文庫=(電)03(3306)4661=へ。

大宅さんの書斎を再現した部屋で「大宅文庫パトロネージュ」について説明する(左から)富田明生事務局長、鳥山輝専務理事、三枝和理事

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