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【社会】

認知症の生活、AIが支える 日常の行動、会話して助言

認知症の人が日常生活で支障を感じる場面について話し合う参加者ら=名古屋市千種区で

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 静岡大情報学部(浜松市中区)の桐山伸也准教授(45)らの研究グループが、人工知能(AI)を使って認知症の人のデータを解析し、日常の行動をアドバイスする音声対話システムを開発した。認知症の人が自立的に暮らしを楽しみ、介護者の負担軽減にもつながると期待される。 (鎌倉優太)

 「今日の予定は」

 「ひつまぶしを食べに行きます」

 「どんな服装がいいかな」

 「今日は最高気温が三六度と暑いので、涼しい服装がお勧めです」

 名古屋市千種区で七日にあった介護関連の研究会で、静大のグループが公開した音声対話システムを紹介する映像。研究に協力する認知症の山田真由美さん(59)=名古屋市西区=が端末のモニターに問い掛けると、AIがすらすらと音声で答え、勧める服装の画像が映し出された。山田さんは「メークも、服を着替えるのも。朝起きてから寝るまで、いろいろなことがどんどんできなくなっていく。こういうアドバイスをもらえるのは、ありがたい」と話した。

 システムは若年性認知症の人と家族の交流会「あゆみの会」(名古屋市)と協力し、認知症の人や介護者の声を集め、データとして蓄積した。外見や所持する服、スケジュールなど個人データを入力しておくと、日々の天候や気温なども踏まえたうえで適切な行動をアドバイスできる。

 認知症になると、簡単な行動ができなくなったり、判断に迷ったりすることが増える。健常者には理解できず、周囲とのあつれきを生んだり、日常生活の萎縮につながったりする。

 同日の研究会では参加した認知症の人や介護事業者らから、トイレットペーパーの使い方や、食事する店の予約方法のアドバイスを求める声も出た。研究グループは今後、こうした「気付き」を収集するとともに、表情や心拍数を読み取り、健康管理に役立つようにするなど機能を拡充させていくという。

 音声対話システムの開発は静大を拠点に、介護分野でAIを使った技術革新を目指す産学連携のプロジェクトの一環。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムに採択されている。桐山准教授は「このシステムをさまざまな端末で使ってもらい、得られた情報を分析することで、さらにサービスの向上につなげていきたい」と話した。

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