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【社会】

「個別指導孤独でつらい」 廊下で寝起き、書写1週間、自由時間なし

7月まで東京都の一時保護所と足立児童相談所があった施設。現在は建て替えのため仮移転している=東京都足立区で

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 「一週間ずっと教科書の内容をノートに書き写していた。職員もほとんど話をしてくれなかった」。親から虐待を受けて保護された十代の女子生徒は、東京都の一時保護所で経験した「個別」と呼ばれる指導の実態を本紙に証言した。「守ってもらえるはずの場所で、なぜあんな思いをしないといけないのかと思った。今も納得できない」と話す。 (岡本太、森川清志)

 女子生徒は親からの虐待で保護され、今年、都足立児童相談所の一時保護所に入所した。そこで経験した「個別」と呼ばれる指導は、「懲罰的な運用はしていない」という都の説明と大きく食い違う。

 女子生徒によると、保護所では異性だけでなく、女子同士も「仲良くなるから」という理由で会話が禁止された。ある日、学習の時間にほかの女の子と話をしたことを注意され、職員に「今日から個別です」と告げられた。

 職員に連れられて向かったのは、ホールにつながる廊下の一角。ついたてで囲んだ一畳ほどの畳の上に机といすがあった。職員から「道徳のような教科書」とA4判のノートを渡され、書写の指示を受けた。

 「個別」では、ここに布団を敷いて寝起きする。午前六時、他の子より約一時間早く起き、食堂などを一人で掃除し、みんなが起きてくるころにはついたての内側に。書写は午後八時まで続き、食事はついたての内側で食べた。ほかの子との接触は許されず、自由時間もなし。運動は他の子より長い距離を走らされた。

 女子生徒の「個別」は一週間に及んだという。職員の指示に従わなかったり、反抗したりすると期間は延び、退所の日が来ても個別の期間中だと「出られない」と説明された。隙間なく書き写したノートは一週間で三冊に。「内容は全然覚えてない。意味ないことをやらされ、孤独で精神的につらかった」。最終日には子ども全員の前で反省と謝罪をさせられた。

 足立児相の辰田雄一所長は、本紙の取材に「個別」は無断外出などの重大なルール違反をした場合のみで、期間も三日程度と説明。課題は罰ではなく、自分の行動を振り返るためで、職員が一対一で向き合っているとした。

 女子生徒は「職員もほとんど話はせず、完全に罰だった。虐待から保護してもらっただけなのに、何を反省すればいいのか分からなかった」と言う。「まるで刑務所だった」と振り返った。

 足立児相の一時保護所を巡っては、別の子も本紙に「ニコニコしていたり、指の関節を鳴らしたりしただけで『個別』になる子がいた」と説明。「そんなことしていると個別にするよ」と話す職員もいたと話した。

 

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