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【社会】

京アニ放火1カ月 「匿名に」遺族の思い 実名の同意、警察重視

 京都府警の身元公表は犠牲者三十五人のうち十人にとどまっている。残る二十五人は遺族が匿名を希望し、実名発表を了承していないのが理由とみられる。本来は必要のない手続きだが、警察庁は府警に遺族の同意を得るように指示。異例の対応が続いており、公表にはまだ時間がかかる見通しだ。

 事件から半月後の二日。府警の西山亮二捜査一課長は十人の身元を公表した際、「実名発表を了承してくれた方、既に葬儀を終えられている方を発表する運びになった」と「二つの条件」を基準にしたと説明した。

 政府の犯罪被害者等基本計画では、被害者の発表を実名にするか匿名にするかは警察が判断する。匿名は性犯罪の被害者などに限られ、今回は身元が分かり次第、実名発表されるケースだ。

 ただ事件の四日後、京アニは「(実名が)報道された場合、被害者や遺族のプライバシーが侵害され、遺族が甚大な被害を受ける可能性がある」と懸念を示し、実名発表を控えるよう府警に文書で要請した。

 府警は遺族に丁寧な説明をした上で、犠牲者全員の実名を一括して公表しようとした。だが報告を受けた警察庁は遺族に配慮し、しっかりした同意を得るように求めた。

 府警は「二つの条件」を満たした十人を公表。さらに取材の可否を十人の遺族に事前に確認し、多くが「拒否」だと報道各社に示した。本来は報道側が検討すべきだが、遺族の意向が警察を通じて伝えられる状況が生じている。

 十人の身元公表時、西山捜査一課長は残る二十五人についても、理解が得られるよう努めると述べた。府警は警察庁と協議し公表時期を決めた上で、遺族に改めて説明する方針だ。

 府警内部では「同意まで得る手続きは、従来の事件と整合性が取れないのでは」と疑問を呈す声も出ている。

 京都府警の記者クラブの加盟各社は事件を受け、速やかな実名公表を求める一方、遺族や被害者への過熱取材を防ぐために協議してきた。個別に取材すると、訪れる記者は十人以上になり負担が大きくなる。なるべく複数社でまとまり囲み取材をすること、取材拒否の意向が明確な場合はすぐに情報共有し、度重なる訪問を避けることなどで合意している。

 

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