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【社会】

横浜市、カジノ誘致へ 山下ふ頭候補 市民 反対強く

 横浜市がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)を誘致する方針を固めたことが、市関係者への取材で分かった。林文子市長が週内に記者会見し、正式に表明する。首都圏にあり、羽田空港のアクセスが良い横浜が誘致に乗り出すことで、自治体間の競争激化が予想される。 (杉戸祐子)

 ただ、カジノ誘致には市民の多くや、地元の横浜港運協会が反対しており、民意を軽視した市長の判断に批判が強まりそうだ。

 関係者によると、市は候補地として、観光名所の山下公園に隣接する横浜港の山下ふ頭(同市中区、四十七ヘクタール)を想定。九月補正予算案に誘致関連費用約二億六千万円を計上する他、専門部署を設けて体制を強化する。

 国は二〇一八年七月に成立したIR整備法で立地区域を全国で最大三カ所とし、今後、選定基準を含む基本方針を公表する。

 林市長はもともと誘致に前向きだったが、三選を目指した一七年七月の市長選の半年前に「白紙」と立場を変え、IRに関する情報収集として、市内で開業を希望する事業者からヒアリングを行うなどしてきた。

 首都圏では千葉市が今月に入って事業者から情報を集めるなど誘致に向けた動きを活発化させ、東京都も検討を続けている。こうした状況の中、横浜市は正式に誘致を表明して、選定に向けた準備を優位に進めようと、かじを切ったとみられる。

 IR誘致には大阪府・市、和歌山、長崎両県も前向きな姿勢を示している他、北海道も検討している。

◆市長選では「カジノ白紙」

 治安悪化やギャンブル依存症への不安を顧みないのか−。IR誘致方針が明らかになった横浜市では、カジノに批判的な市民や事業者団体から、反発の声が相次いだ。

 「カジノに頼らず港の再開発を目指す方針は変えない」。港湾事業者でつくる横浜港運協会(同市中区)の藤木幸夫会長は十九日、コメントを発表し反対姿勢を改めて示した。

 市は六月に、IRに関する市民説明会を市内四カ所で開き、この際のアンケート結果(回答者三百三十三人)を今月公表した。IRのイメージを尋ねる質問には「治安が悪くなる」との回答が最多で、「依存症になる」が続き、「観光が発展する」「華やか」など肯定的な意見を上回った。

 市が昨年行ったパブリックコメントでも、IRに関する意見(四百三十三件)の94%を否定的な意見が占めた。

 IRに反対する署名活動を続ける「ことぶき共同診療所」の越智祥太医師(精神科)は「林市長は市長選で『カジノは白紙』の立場で当選した。市民の声を聞かず、独断で推進するのは民主主義にもとる大問題。依存症患者が増加する状況を作ってしまう」と批判。誘致反対派の市議も「市民の不安の声に耳を傾けない市の方針は拙速。開港から百六十年、ハイカラな港町として発展した横浜の品格を守れるのか」と話す。

 一方、IR誘致を目指している横浜商工会議所の上野孝会頭は十九日、「市から公式に方針を聞いていないが、事実であれば大変喜ばしく評価したい」とコメントした。 (丸山耀平、杉戸祐子、志村彰太)

<統合型リゾート施設(IR)> カジノを中心に国際会議場やホテル、エンターテインメント施設などを一体整備した巨大集客施設。経済効果や雇用創出の期待が大きい一方治安の悪化やギャンブル依存症への懸念が指摘されている。2018年7月にIR整備法が成立し、日本でもカジノ営業が解禁された。都道府県や政令指定都市が事業者と連携して整備計画を作り、国が経済効果などを評価して選定する。

 

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