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【社会】

虐待受けた私だから 防止活動続ける和光の女性

児童養護施設の子どもたちが描いたパステル画作品=いずれも東京都豊島区のカフェ「キタイケギャラリーポートフォリオ」で

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 「虐待防止活動家」を名乗る埼玉県和光市の元保育士Ai(アイ)さん(34)が、東京都内を中心に虐待経験者の語り場づくりや児童養護施設への訪問をボランティアで続けている。幼少時に母親から受けた暴力が虐待だったと知ったのは大人になってから。「悪い子だから殴られる」と思い続けてきた過去に向き合い、同じ境遇の人に伝えている。「もっと自分を大切にしよう」 (浅野有紀)

 「虐待を受けている子どもたちが愛で満たされるように」という願いを込め、Aiの名前で活動する。北海道出身。二歳上の兄、八歳下の弟がいるが、母親から一番きつく当たられた。

 父親が単身赴任で不在だった小学五年の時に、「金を盗んだ」などと身に覚えのないことで何度も平手打ちされた。自分にだけ朝食を出されなかったこともある。「余計に怒られる」と思うと、誰にも助けを求められなかった。

 高校卒業後に入った保育士の専門学校で虐待に関する授業があった。その授業で、自分が受けてきたことが身体的虐待や育児放棄(ネグレクト)だと初めて理解した。

 保育士として就職したが、自身の目指す保育と施設の方針がかみ合わずに退職することに。虐待経験を思い返し、幼い頃に自らが求めていた「誰かの悩みを打ち明けられる人」になろうとフリーの道を選んだ。上京し、アルバイトで生計を立てながら二〇一七年に「虐待防止活動家」としての活動を始めた。

展覧会を訪れた虐待経験者から話を聞くAiさん

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 ブログなどで虐待を経験した人たちに呼び掛け、カフェに集まって語り合える場を設けた。これまでに都内で五回開き「こんな場所がほしかった」と喜ばれた。参加者は二十〜五十代と幅広く「フラッシュバックに苦しんでいる」、「精神科医と合わない」などと思いを打ち明けるという。

 都内の児童養護施設を回り、パステル画教室も開いている。パステルを削ってコットンに含ませ、ハートやイルカなどの型に沿ってポンポンと色付けていく。心を閉ざし、当初は真っ暗な色を使っていた子どもたちが、次第に楽しんで明るい色を使うようになることもある。「自分を認め、表現できるようになってほしい」と願う。

 活動を通して感じるのは「悪い子だったから家族から愛されなかった」と今でも自分を責めてしまう人が多いこと。「虐待の連鎖を生まないためにも、自分を大切にできるよう、その人のありのままを受け入れる居場所づくりを広げていきたい」と意気込んでいる。

 九月一日まで、養護施設の子どもたちのパステル画を東京都豊島区のカフェ「キタイケギャラリー ポートフォリオ」で展示している。水曜定休。問い合わせは、メール=gyakutaijibunwosotugyou@gmail.com=へ。ブログは「虐待防止活動の日々の記録ブログ」で検索。

 

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