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【社会】

警察無線音声 ネット流出 元警官が傍受、販売 愛好家に、時効成立

 警視庁の警察無線の音声が昨年十一月、動画サイト「ユーチューブ」に投稿された問題で、この音声は山梨県警の元警察官の五十代男性=懲戒免職=が在職中の二〇〇九年に東京都内で傍受、録音し、警察グッズ愛好家の五十代の男性=兵庫県=に販売したものだったことが、警視庁保安課への取材で分かった。 (木原育子)

 元警察官と愛好家の行為は、地方公務員法(守秘義務)と電波法違反に当たるが、既に公訴時効(三年)が成立している。保安課は二十三日、無線音声をネットに流出させたなどとして、電波法違反(無線通信の秘密漏えい)の疑いで、愛好家から音声記録を譲り受けるなどした浜松市の男性パート従業員(41)と、岩手県花巻市の男性アルバイト(49)を書類送検した。

 捜査関係者によると、元警察官は山梨県警捜査一課の警部補だった〇九年八月、警察が使う受信機(受令機)二台を東京都八王子市内に持ち出し、警視庁の無線を傍受。同十月ごろ、録音した記録媒体を別の備品とともに知人の警察グッズ愛好家に数万円で売った。愛好家は、書類送検された浜松市のパート従業員ら四人に譲り渡した。元警察官は「高値で売れると思った。借金返済のためだった」と話し、愛好家も事実関係を認めている。

 書類送検された二人の容疑では、パート従業員は一八年九月、警察無線の音声が録音されたCDをフリーマーケットアプリで約三千円で販売。これを購入したアルバイトは同十一月、ユーチューブに投稿したとされる。「マニアはほしがる」などと容疑を認めている。

 流出した音声は、都内で起きたひき逃げ事件に関する警視庁通信指令本部と複数の署、パトカー間のやりとり。音声ファイルは三本で、いずれも「警察無線警視庁四方面」のタイトルだった。関係する車のナンバーや所有者の名前などの個人情報が含まれていた。

 閲覧した人から警視庁に電話で連絡があり発覚。ユーチューブからは既に削除されたが、約四千三百回再生された。

◆内部の犯行 対応難しく

 「警察グッズ」は愛好家の間で人気が高い。無線は個人や捜査の情報が含まれるためデジタルで暗号化され、関係者以外は聞くことができないが、今回のように内部の人間による流出は対策が難しく、捜査幹部は「運用は警察官の良識にかかっている」と危機感をにじませる。

 捜査関係者によると、無線音声を流出させた元警察官は二〇〇九年に無線機の脱落防止用のひも七十本余りを盗んだとして、一二年に逮捕され(不起訴)、懲戒免職となった。警察の備品を多数ネットオークションに出品し、落札総額は百二十万円に上っていた。

 警察無線は過去には革マル派の活動家が警察無線を傍受したとして逮捕された事件もあり、外部から傍受、解析されないよう対策を強化してきた。しかし警察備品の受信機を使えば他の都道府県警の無線でも傍受でき、「警察官なら悪意があれば(傍受、録音して)持ち出せてしまう」(捜査幹部)。

 警察庁情報通信局の担当者は「広域災害などの際、他地域の無線を聞けるようにする必要がある。各都道府県警を通じ、無線機の管理体制を厳格にしていくなど対応したい」と話した。

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