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【社会】

<東京2020>健常者団体と統合は… 障害者団体、多様な思い

障害のある選手とない選手が同じ舞台で競った兵庫県選手権水泳競技大会=7月、神戸市で(日本身体障がい者水泳連盟提供)

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 「運営基盤が安定する」「メダルありきになるのでは」−。障害者スポーツの競技団体への本紙アンケートでは、健常者の団体との統合に利点を見いだす意見の一方、疑問や不安の声も聞かれた。東京パラリンピックは統合の大きなきっかけになり得るが、障害者団体それぞれの理念や事情に配慮して考える必要がある。 (森川清志)

 「選手たちも『パフォーマンスを見てもらえてうれしい』と喜んでいました」

 七月に行われた兵庫県選手権水泳競技大会。日本身体障がい者水泳連盟常務理事の桜井誠一さん(69)は、障害のある選手を初めて出場させることができ、手応えを語った。

 連盟はろう者の団体などと障がい者水泳協会をつくり、日本水泳連盟に加盟している。だが、障害者は一般的な大会に出場できないことが多く、「レース経験を積ませたかった」と話す。アンケートでは、欧米のように障害のある選手がこうした大会の一種目として参加できるなら統合もよい、と答えた。

 既に統合した日本トライアスロン連合は「ガバナンス(組織管理)などの意識向上や、多彩な人材確保が可能。利点は数多い」と答えた。年間予算は約十六億円と多く、資金は「ほぼ足りている」。事務所確保も「将来不安はない」とする。統合の利点に「運営基盤の安定」を挙げる団体は他にもあった。

 一方で、健常者団体との協力関係は維持しつつ、統合に否定的な意見も。

 日本障害者カヌー協会会長の吉田義朗さん(66)は「障害者もカヌーが楽しめるんだ、という行動権を広げたい」との思いで普及に努めてきた。健常者団体の日本カヌー連盟と統合すれば「メダルを取りにいくという競技性が高まるのでは」と心配する。

 それでも協力する利点はある。九月に開かれる日本選手権大会は連盟が主催し、協会が共催。「資金の節約になる。障害を知ってもらういい機会にもなる」と吉田さん。

 日本視覚障害者柔道連盟も「競技スポーツ化」を懸念。日本車いすフェンシング協会は、統合しても「別々に考えなくてはならないことも多い」とし、例えば練習は「その人の障害に合わせたトレーニングをする必要があり、健常者のコーチに健常者と同じような指導をしてもらうのは無理がある」。いずれも統合は考えていないという。

 スポーツ庁障害者スポーツ振興室は「団体によって事情は異なり、こちらから統合を勧めることはしない」と静観している。

 パラリンピックに詳しい笹川スポーツ財団政策ディレクターの小淵和也さんは「統合を目指す団体は互いの理念や方向性を擦り合わせるため、今から話し合いを始めた方がいい。大会が近づけばメダル獲得に焦点を合わせた活動に忙しくなり、大会後では遅すぎて実現が難しくなるのでは」と話している。

 

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