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【社会】

<東京2020>パラリンピツク開幕まで1年 健常者と融合、進むか

 東京パラリンピック開幕まで二十五日で一年となるのを前に、本紙は障害者の競技団体にアンケートを行った。同種競技の健常者の団体と組織を統合した、あるいは検討中の団体は三割未満にとどまった。欧州などでは障害者への差別をなくそうと融合が進み、日本でも障害者団体の職員や資金不足などの解決につながるとの期待があるが、実態は遅れている。 (森川清志、加藤行平)

 アンケートは今月、東京大会の二十二競技に関係する二十六団体を対象に行い、二十四団体が回答した。「統合済み」は日本トライアスロン連合と全日本テコンドー協会の二団体、「相手と協議中」は二、「内部で検討中」が三で、具体的な動きがあるのは計七団体。「検討はしていないが前向き」の三を含めても約四割だった。

 「統合の考えはない」と答えたのは七。残り七団体は「その他」とした。

 統合以外で、健常者団体の協力を得るケースがあるのは十八団体。内容は大会の共同開催や審判の派遣などだった。

 常勤の職員数が「不足」「やや不足」と答えた団体は計二十一と、九割に上った。人数は二人が八団体と最も多く、一人が五、三人と四人が各二。非常勤職員だけという団体も。

 運営資金は「不足」「やや不足」が計十九団体で、八割を占めた。不足分を補うため、役員が自己資金を出している団体もある。

 練習場所の確保は、計十五団体が「できている」「ほぼできている」とした一方、五団体は「難しい」「やや難しい」と答えた。都市部より、地方で難しいとの回答もあった。

 団体の事務所は日本財団パラリンピックサポートセンター(東京都港区)のフロアが二〇二二年まで無償で借りられる。アンケートに答えた中では二十一団体が利用中で、十八団体が「将来は不安」とした。

◆「共生社会に重要」欧州など広がる

 海外の状況を二〇一四年に調査した流通科学大の山口泰雄特任教授(スポーツ社会学)によると、競技団体の統合は英国やドイツ、カナダ、オーストラリアで進んでいる。「障害の有無にかかわらずスポーツを楽しむ環境をつくろうと、健常者団体が障害者を支援する形で統合が広がった」という。

 山口氏によると、契機は〇六年、国連による障害者権利条約の採択。これらの国では一九八〇年代〜二〇〇〇年代初頭にかけて障害者差別禁止法ができ、障害者の権利向上の基盤があった。一方、日本で差別解消法ができたのは一三年で、内容も「禁止法」より緩やかだ。

 山口氏は「統合は競技力を向上させるだけでなく、共生社会をつくる意味で重要。個人や多様性の尊重は社会全体の課題で、スポーツにはそれを解決する力がある。コミュニケーションを図りつつ、統合を検討するべきだ」と提言する。

<パラリンピック> 障害者スポーツ最大の国際総合大会。1948年に第2次世界大戦の負傷兵が入院する英国の病院で、車いす患者の治療や社会復帰のために開かれたアーチェリー大会が起源とされている。夏季大会は60年、冬季大会は76年が第1回。パラプレジア(下半身まひ者)とオリンピックからの造語で、今では「パラレル(もう一つの)」五輪の意味になった。現在は、夏季と冬季でいずれも4年に1度、五輪の開催都市で開かれる。2020年東京大会では、8月25日から9月6日まで、22競技が行われる。

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