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【社会】

「日系4世ビザ」高い壁 年4000人の来日想定… 現実は33人

赤嶺ダニエラさんと撮った家族写真を見つめる父のロベルトさん(左)=愛知県豊田市で

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 昨年七月に新設されたブラジルなどの日系四世の受け入れ制度(四世ビザ)を使い、今年六月までの一年間で、在留を認められたのは四十三人、入国したのは三十三人にとどまっていることが、出入国在留管理庁への取材で分かった。政府は年間で、上限四千人の受け入れを想定しているが、要件が厳しく、日系人からは改善を求める声が上がる。 (斎藤雄介)

 「四世ビザ」は十八〜三十歳が対象で、最長五年の在留が認められる。家族は同伴できない。一定の日本語能力や、日本での生活を無償で支援する「受け入れサポーター」を確保するなどの要件がある。

 日系三世で武蔵大のアンジェロ・イシ教授(52)=国際社会学=は「きわめて厳しい要件で、制度設計の時点から利用の低迷は想定されていた」と話す。

 一九九〇年の入管難民法改正で、日系人は三世まで就労制限のない「定住者」として来日することが認められた。日系人は製造業などで働き、「雇用の調整弁」とも呼ばれながら平成の日本経済を支えた。

 だが、二〇〇八年のリーマン・ショックで、政府は本国への渡航費を支給して帰国を促した。当面は再入国しないことを条件にしたため、「手切れ金」とも呼ばれた。二万人以上が帰国し、特に日系ブラジル人の在留者は〇七年の三十一万人超から、一七年には十九万人余に減った。

 一方で、ブラジルの日系団体などは、四世向けの在留資格新設を求め一六年、要望書を大使に提出。リーマン・ショックで親と一緒に帰国した四世の若者が多くいることが背景にある。

 昨年七月、「四世ビザ」が新設されたが、九カ月後の今年四月、アジアから約三十五万人の労働者受け入れを見込む改正入管難民法が施行された。アンジェロ教授は「改正をセットでみれば、日系人はもう日本の労働市場に歓迎されていないということなのではないか」といぶかる。

 同庁の担当者は「利用が少ないのは事実。見直しをするかどうかも含めて検討中」としている。

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