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【社会】

障害者 親亡き後の相談室 行政書士らがネットワーク

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 親が病気になったり、亡くなったりしたら、障害がある子どもは−。そんな悩みに対応するため、行政書士やファイナンシャルプランナーらによるネットワークが全国に広がっている。その名も「親なきあと相談室」。複雑な福祉制度について一元的に相談できるため、親たちの「駆け込み寺」となっている。

 「今までは何が分からないかも分からない状態だったけど、話を聞いたらちょっと光が見えました」。七月下旬、横浜市にあるマンションのゲストルーム。相談に訪れた小林順子さん(50)は胸をなで下ろした。

 長男の将(じょう)さん(19)は重度の知的障害があり、話すことができない。この日はファイナンシャルプランナーの佐藤加根子さん(57)が、二十歳から受け取れる障害年金の仕組みや、貯金のコツについて説明した。

 小林さんは約四年前に自身の乳がんが発覚。「子どもに何かあったらとは思っていたけど、自分のことは何も。どこかで不死身だと思っていたんですよね」。入院のため、急きょ将さんのヘルパーや学校の送迎を依頼しなければならず、出費が重なった。

 退院後も服薬治療が続き、「もし夫まで倒れたら」と危機感は募った。どこに相談すれば良いか分からず迷っていたところ、フェイスブックで佐藤さんの活動を知った。

 ネットワークの呼び掛け人は、知的障害のある娘がいる行政書士の渡部伸さん(58)=東京都。お金や住まい、福祉サービスに関する窓口が分かれているのは不便だと感じ、二〇一四年に相談室を始めた。無料または低額で不安を聞き取ったり、他の支援機関につないだりする仕組みで、賛同者が次々に相談室を立ち上げ、全国五十カ所以上に広がった。六月には「ネットワーク研修会」を開き、各地の取り組みを共有した。

 一方、国の取り組みは道半ばだ。国会は一二年の障害者総合支援法などの付帯決議で、「親亡き後」を見据えて障害者の地域生活を支援すべきだとの内容を盛り込んだ。国は相談を受け付ける場として、自治体に「地域生活支援拠点」を整備するよう求めてきたが、一八年四月時点で整備が済んだのは、全国の約千七百市区町村のうち約二百三十にとどまる。

 佐藤さんは「一番避けたいのは、誰にも相談できないまま親子が年を取って、共倒れ状態になってしまうこと」と指摘する。

 高齢の親が、障害がある子どもの面倒を見続ける状態は「老障介護」と呼ばれる。「準備は早ければ早い方が良い。苦労を抱え込まずに、気軽に相談してほしい」と話した。

 

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