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【社会】

マンション防災 23区温度差 本紙調査 8区は冊子も作成せず

高層マンションが多い自治体がまとめている震災対策ハンドブック

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 九月一日の「防災の日」に合わせ、一戸建て住宅とは異なるマンション特有の防災対策について、中高層マンションが集中する東京二十三区の啓発の状況を本紙は調べた。築年数が新しく倒壊の危険が低いマンションでは、震災時に住民が自宅から避難しない方がいい場合もある。そうした災害時の心構えを記した啓発の冊子を八区では作成・配布していない。取り組みには区ごとの差がある。 (北條香子)

 冊子を作成していない八区は、二〇一五年の国勢調査で共同住宅の六階以上に住む人の割合が、いずれも20%未満だった。

 六階以上に住む人の割合が57・6%の中央など六区では、マンション管理組合や自治会に、防災の専門家が無料で対策の学習会などを行う「マンション防災アドバイザー」を派遣している。冊子を作成していない八区は、こうした制度も導入していない。

 冊子を作成していないある区の担当者は「自治会から依頼があれば出張して課題を話すが、行政側から積極的に働き掛けるまでは手が回らない」と話した。

 一方、冊子を作成している港区は、震災時は「エレベーターに乗るな」と強い表現で呼び掛けている。同区の担当者は「危機感を強調し、対応の必要性を訴えた」と語った。

 アドバイザーを派遣している品川区の担当者は「冊子では反応が見えにくい。課題を直接聞き、住民に防災を考えてもらうことが重要だ」と説明した。

◆原則は「在宅避難」

 各区が作成する災害対策の冊子では、震災発生時に倒壊する恐れが低いマンション住民に、自宅で生活を続ける「在宅避難」を呼び掛けている。避難所は家が倒壊、焼失した人向けの一時的な生活場所だからだ。

 新宿区の担当者は「マンション住民が避難所に来てはいけないわけではない」としつつ、プライバシーが確保できない生活が精神的ストレスになる可能性を指摘。「食料や簡易トイレを備え、自宅にとどまった方が良い」と話す。

 備蓄に取り組む中央区の三十七階建て「コーシャタワー佃」は、奇数階に三日分の食料と水、偶数階に発電機などを蓄える。自治会長の生田目裕(なまためひろし)さん(64)は「当事者として自分たちで頑張る意識を持つことが重要だ」と話す。

 震災時にはエレベーターが安全点検後まで使えず、高齢者や妊娠中の女性、障害者らが中高層階で孤立する可能性がある。流した下水が排水管の損傷で下の階に漏れる危険性もあり、国土交通省は損傷がないことを確認してからトイレを使うよう呼び掛けている。

 一般社団法人「地域防災支援協会」の三平洵(みひらじゅん)代表(37)は「マンションでは隣の住民を知らなかったり、防音性が高くて助けを求める声が届かないこともある」とし、普段から住人同士で安否確認訓練などを行う必要性を訴える。

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