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【社会】

先生のハラスメント助けて 8900人署名、文科省に提出

教員ハラスメント窓口の設置を訴える佐藤悠司さん=2日午後、東京・霞が関で

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 担任のパワハラで不登校になった経験を持つ早稲田大2年佐藤悠司さん(20)が、学校や先生からの嫌がらせ「スクールハラスメント」の相談窓口を、教育委員会から独立した形で設置するよう文部科学省などへ求める署名活動を行い、1カ月で約8900人の賛同が集まった。被害を学校へ相談してもなかなか解決しない現状も浮かび上がり、2日、同省で記者会見した佐藤さんは「多くの子どもが泣き寝入りさせられている」と訴えた。 (柏崎智子)

 署名は、インターネットサイト「チェンジ・ドット・オーグ」で七月十七日〜八月十七日に実施。先月末までに文部科学省などへ提出した。

 佐藤さんは、東京都世田谷区の私立中高一貫校で中二の冬、担任から「離婚家庭の子どもだからだめなんだ」などと長時間にわたり言葉の暴力を受け、適応障害や睡眠障害を起こし、不登校になった。

 都教委や区教委に相談したこともあったが「私学を指導する権限はない」と受けてもらえず、大学進学後に法務省「子どもの人権一一〇番」へ相談すると「在学中でなければ受けられない」と拒否されたという。どんな立場の子どもの相談も受け、権限を持って解決する行政機関が必要だと痛感し、署名を実施した。

 署名と同時にハラスメント被害を尋ねるアンケートも実施。五十九人が回答し、八割以上が学年主任や担任、スクールカウンセラーなどへ相談したが、効果があったのは一割程度で、四割超が「効果がなかった」、三割超は「かえって状況が悪化した」と答えた。

 コメント欄にも「教師から屈辱的な対応をされ、負の記憶として残っている」「陰湿ないじめに遭い、担任は知っていたが何もしてくれなかった」など数十の事例が寄せられた。

 佐藤さんは「こんなに苦しんでいる人がいるのに行政が対応していない。相談窓口はたくさんあるが、被害者は愚痴を聞いてほしいのではなく、解決を願っている。求めに合っているのか考え直してほしい」と語った。

◆「ここで終わっていいのか自問して」

 中学三年から高校卒業までほぼ不登校状態だった佐藤さんは「何度か自殺を試みたことがあった」という。学校に行きたくても教師が怖くて体が動かない。頑張って登校すると「クラスメートから『幽霊』と言われ、『いつ学校やめるの』と聞かれ、しまいには自分が信じられなくなった」

 しかし、自殺しようとした時に、ふっと「まだなんじゃないか」という思いがよぎった。「こうなった自分には、何か役割があるんじゃないか」。それが、苦しい子どもたちのための今回の署名活動につながっている。ニュースで子どもの自殺が報じられると「行き遅れてしまった」という思いも湧き上がるが、同時に「だからこそ役割を全うしよう」という気持ちが強くなった。

 「つらくて自殺を考えている子どもたちに『生きていればいいことがある』とか無責任なことは自分は言えないが、一回だけ考えてほしい。君はここで終わっていいのか。自分自身に一回、問うてほしい」

 今回の署名で、自分の活動としては一区切り付けるつもりだ。「道はできている。後を継いでくれる人はいる」と信じている。

 

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