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【社会】

<くらしデモクラシー>表現の不自由 行く先は… 風刺漫画家・横田さん、世界の100作品展示会

横田吉昭さん

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 表現の自由をめぐる問題が相次ぐ中、世界の風刺漫画家による「表現の不自由さ」をテーマにした作品展を開く男性がいる。風刺漫画家の横田吉昭さん=東京都小金井市。世界の潮流を危ぶんで企画したが、「あいちトリエンナーレ2019」の企画展が中止に追い込まれたタイミングと重なった。人ごとではない国内の状況に、「こうした風潮が進めばどうなるか、想像を広げてほしい」と切望する。 (小倉貞俊)

 記者会見の演台に立つ人物を銃の標的に見立てた作品はコロンビアから。中国の漫画家は、有刺鉄線がまきつく腕で血を流しながら突き付けるマイクを描く−。

 横田さんが呼び掛けた「世界の漫画家が描く『表現の自由とは?』展」に寄せられた作品の一部だ。

 長年、風刺漫画を手掛け、現在は共同通信から配信。約二十年前から世界漫画家連盟にも所属する横田さんが同展を発案したのは今年七月。海外で起きた二つの「事件」がきっかけだった。今春、トルコでは政権風刺を続けてきた同国の漫画家がテロ支援の罪で禁錮刑を受けた。米国でも、掲載した政治風刺漫画を批判されたニューヨーク・タイムズが、国際版で今後一切の漫画掲載を中止すると表明した。

 「最も自由であるべきの風刺漫画にすら抑圧が及ぶのは末期症状。日本にもこの現状を広く知らせたい」と、各国の漫画家仲間に表現の自由の危機をテーマにした一コマ漫画の提供を呼び掛けた。世界三十一カ国から約百点のシニカルな作品が寄せられた。

 作品展の準備に追われていた八月、あいちトリエンナーレ2019の企画展「表現の不自由展・その後」が、抗議や脅迫を受けてわずか三日で中止になる事態が起こった。ほかにも、文部科学相が選挙演説へのやじに「権利として保障されていない」と会見で述べるなど、国内では今夏、表現の自由を後退させかねない政治家発言も相次ぐ。

 こうした現状に横田さんは「表現の自由は、人間が長い歴史を経て獲得してきた大切な権利。それが日本でもないがしろにされ始めている」と危ぶむ。とりわけ気になるのは強者におもねる動きという。「権力側に寄り添った上での弱者や少数者、および他者に対する不寛容さが広まっているような不気味さを感じる」と指摘する。世界の風刺漫画家が訴えている危険な現実は、日本にもじわりと迫っているように思えてならない。「皮肉な話ですが、風刺する題材にこと欠かない」と嘆いた。

 作品展は九月十二〜十八日、東京都港区の元麻布ギャラリーで開催。各日とも正午〜午後七時(最終日は午後四時まで)で入場無料。問い合わせは横田さん=電080(6865)2814=へ。

アンドレス・カミロ・パティーニョ・オラルテ氏の作品(コロンビア)

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胡兵(フー・ビン)氏の作品(中国)

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