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【社会】

「特定の園希望」待機児童に数えず 国の基準、自治体から疑問の声

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 六日の厚生労働省の発表で、「待機児童」は最少となったが、「潜在的な待機児童」は逆に最多となった。特に「特定の保育園等のみを希望している」として待機から除外する例が目立つ。自治体からは「国の基準で外しているが、現実には厳しいと感じるケースもある」という声が漏れる。 (柏崎智子)

 「母親が毎朝雪の中、一人をおんぶし、もう一人の手を引いて自宅から三十分歩いて保育園へ通うのは、現実にはなかなか厳しいと思います」

 待機児童はゼロだが、潜在的な待機児童が千三百八十九人いて、うち千百五十二人を「特定の園希望」とした札幌市の担当者は漏らした。

 「特定の」といっても、保護者が一カ所だけ希望し、ほかをすべて拒否しているわけではない。国は、「通常の交通手段で自宅から二十、三十分の範囲にほかの施設の空きがあっても入所しない場合」を除外する基準として示している。

 同市の場合、第一次募集で五カ所まで希望施設名を書いて申し込める。すべて落ちると、市は、国の基準の範囲で空きのある施設を紹介するが「雪の多い札幌で、自転車での通園はあり得ない。きょうだいがいる場合など、徒歩で別々の園まで毎朝連れて行くのは、かなりつらいのではないか」。

 東京都内で潜在待機が最多だった港区は、特定園希望として六百二十人を除外した。保育所へ入れるか不安で申込時に入所希望の施設名をたくさん書くが、希望順位の低かった施設にいざ入所が内定すると、現実的には遠くて通うのは無理などと感じ、辞退する例が多いという。

 百八十三人を除外した水戸市では、五歳まで通える認可保育所を望んで落ちた保護者に対し、二歳までの小規模保育の空きを紹介するが、三歳以降の行き先をまた探さなければならないと不安を感じ、断る保護者が多いという。

 国を挙げての「待機児童ゼロ」目標だが、そこだけを見ていては実態と離れてしまう実感を持つ担当者も多い。

 さいたま市では、二年前にいったん待機児童がゼロになったが、国が除外の定義を変更したことなどの影響で、再び増加に転じた。担当者は「これからも待機児童ゼロは目指すが、保育政策を進める上では、実際に入れていない子どもたちの数を重視し、どの地域にどれだけ分布しているかを考えながら進めている」と話した。

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