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【社会】

停電4日目「いつ復旧するのか」 南房総 断水、電話不通…疲れた

9日未明から停電が続く鈴木ふささん宅=12日、千葉県南房総市で(芹沢純生撮影)

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 台風15号の影響で、一部地域で停電や断水が続く千葉県南房総市。十二日も電話も通じず情報インフラが遮断された状態が続いていた。農業も大きな被害を受けている。大規模停電発生から四日目を迎え、住民らの不安が加速している。 (井上真典)

 同市富浦町多田良の国道沿いには、強風で吹き飛んだ屋根の一部が、がれきとしてまとめられ、ブルーシートに覆われた民家が確認できた。近くのコンビニは閉まり、電柱の改修も間に合わず、倒れたままの状態で、信号機も消えていた。

 同市富浦町で一人暮らしの鈴木ふささん(90)は「疲れちゃった。早く復旧してほしい」と話した。鈴木さんは「停電でテレビも見られず、電話もできないので、今どのような状況になっているのか分からない」と困惑した様子。扇風機も使えず「暑くて眠れない日が続いていた」。

 同じく同町で一人暮らしの高本和子さん(77)は、足が悪く、普段はスーパーに食料品を電話で注文し、配達してもらっていた。電話が使えず注文もできないため、近所の人から、お米を届けてもらっていた。避難所も「足が痛いので行けない」という。

 東京電力によると、市内では十二日午後十時時点で、約一万九千戸で停電が続いている。長期の停電は断水も招いた。南房総市によると、浄水場のポンプの非常用電源に不具合などがあり、十二日現在で、六千八百戸が断水している。

 避難所となっている白浜コミュニティセンター(同市白浜町)に携帯を充電するため、訪れた山中優菜さん(22)は長男(1つ)のアトピー性皮膚炎を心配していた。「冷房が使えないので、あせもができ皮膚を引っかいてしまって血が出てしまった」と話す。断水中なので、湿らせたタオルで体を拭いているという。

 孫と給水に来た佐野恵子さん(62)は、ろうそくの灯で、自宅で夕食を食べ、その後は、エアコンのつく車の中で家族四人で過ごしているという。「近所では、電気がついた家もある。いつ復旧するのかだけでも教えてほしい」

 特産のカーネーションを栽培している富浦町では、温室ハウスの屋根のガラスがほとんど割れ、壊滅的な状況。カーネーションを栽培する岩田秀一さん(42)は、「何をしていいのか分からない状態。心が折れそう」とうなだれた。来月から収穫期で、計五十万本の出荷を予定していたが、低温で枯れてしまうため、今年は一割くらいの出荷にとどまるという。

◆鋸南町断水 県把握は4日目

 千葉県内の被害について、発生後数日たっても県南部の自治体の被害状況が把握できていなかったことが分かった。森田健作知事は十二日、県の被災自治体に対する情報収集が不十分だったと認めた。

 停電の影響で、県と市町村が災害情報を共有する防災情報システムがつながりにくい状況だったのが原因。県南部の鋸南(きょなん)町では、九日午前二時の段階で二百三十世帯が断水していたにもかかわらず、県が把握したのは十二日午前。また、南房総市の被害状況は十一日午後まで把握することができなかった。

 システムは自治体の担当職員が人や家屋、道路などの被害をオンライン端末に入力して県に送信する。両市町とも停電の復旧が難航して被害が深刻な地域だった。南房総市消防防災課のある職員は「状況を把握するだけで精いっぱいだった」と説明する。県は十一日、報道や市からの報告で六千世帯超の断水を把握したといい、森田知事は「もっと隅々まで目を配らないといけなかった」と述べた。 (中谷秀樹、井上真典)

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◆26万戸がなお停電

 千葉県内では十二日午後十時半現在で依然、約二十六万戸の停電が続いた。停電地域では携帯電話がつながりにくく、固定電話も一部で不通になった。発電機に使うガソリンや飲料水が不足するなど、影響は深刻化。住民の不安に拍車が掛かった。通信環境の悪化で、自治体の被害把握にも支障が出た。東京電力は千葉市などで十二日中の全域復旧を見込んだが、実現しなかった。

 内閣府は県内四十一市町村に災害救助法が適用されたと発表。国と県が市町村に代わって避難所運営などの費用を負担する。

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 本紙記者が千葉県南房総市から、12日夜の状況を動画でお伝えします

 

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