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【社会】

諫早干拓、審理差し戻し 最高裁が開門命令無効も示唆

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 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の開門を命じた二〇一〇年の確定判決を巡り、国が開門を強制しないよう求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は十三日、開門命令を無効とした国勝訴の二審判決を「審理が尽くされていない」と破棄し、審理を福岡高裁に差し戻した。裁判官四人全員一致の結論。

 事業を巡る一連の訴訟では、漁場の悪化に悩まされていた漁業者が支持する「開門」と、塩害を懸念する営農者が支持する「開門禁止」という相反する司法判断が併存していた。この日の最高裁判決でも司法判断のねじれは解消されず、審理差し戻しにより、訴訟はさらに長期化する。

 ただし、判決は、国に開門を命じた一〇年の確定判決について「あくまでも将来予測に基づくもので暫定的」として、特殊な判断だとも言及。判決の効力の無効化に含みを持たせ、いずれ、六月の別の最高裁決定と同様、「開門禁止」で決着させる可能性を暗に示した。

 今回の訴訟は、一〇年の確定判決に対し、国が開門を強制しないよう効力の無効化を求めた請求異議訴訟。国は一審の佐賀地裁で敗訴したが、一八年の二審福岡高裁は、十年ごとに更新が必要な漁業権が一三年に切れたことから「漁業権が消滅し、漁業者に開門を求める権利はなくなった」と認定。国の逆転勝訴としたため、漁業者が上告していた。

 上告審では、漁業権の消滅が確定判決を無効化する理由になるかが争点となった。菅野裁判長は「確定判決は、漁業権が消滅した後も同じ内容の漁業権が与えられることを前提にしている」と判断。漁業権が消滅したことは「確定判決を無効とする理由にはならない」と否定した。

 その上で「漁業者が今後も開門を求めることが権利の乱用に当たるか、さらに審理を尽くすべきだ」と指摘した。

 

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