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【社会】

非常用電源 20時間が限界 人工呼吸器の女児、停電の恐怖

人工呼吸器が必要な矢沢佑奈ちゃんのケアをしながら、停電時の状況を説明する母の博美さん=13日、千葉県佐倉市で

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 台風15号による千葉県の停電で、人工呼吸器が欠かせない難病の小学生のピンチを、通所施設の所長が救った。非常用電源は20時間しか持たない。電気が回復しないまま不安な思いで半日を過ごした親子は、停電を免れた施設に身を寄せ、危機を乗り切った。 (加藤健太)

 同県佐倉市の小学一年生矢沢佑奈(ゆうな)ちゃん(6つ)は「アイカルディ症候群」と呼ばれる難病で、寝たきりの状態。生後八カ月から、のどに人工呼吸器を装着しており、会話も難しい。

 暴風が吹き荒れた九日未明、矢沢さん宅では庭先のバイクが大きな音とともに倒れ、隣家からは屋根の一部が舞ってきた。午前四時、ニュースを見ていたテレビが突然消え、停電した。

 母博美さん(43)は「数時間もすれば停電は直るだろう」と思っていたが、昼を過ぎても電気は戻らず、非常用電源の残量が減っていく。「深夜には切れちゃう」

 刻々と過ぎる時間に焦りを覚え、佑奈ちゃんが普段通っている市内の重症心身障害者の通所施設「重心通所さくら」に電話で問い合わせると、竹内耕所長(53)は快諾してくれた。車で十分ほどの距離だが、停電を免れていた。

 信号機が消え、交差点に車があふれ返っていた同日夕、博美さんは佑奈ちゃんを車に乗せて施設に駆け込んだ。非常用電源が切れたら、手押しの器具で空気を送り込むことも考えたという博美さんは「こんなに長引くとは思わなかった」と振り返った。

 充電を終えると、竹内所長は「泊まっていきませんか」と提案。「自分で体温調整するのが難しい佑奈ちゃんをエアコンが効かない自宅に戻すのは良くない」という思いからだった。竹内所長も急きょ泊まり込み、一家に寄り添った。初めは不安な表情を浮かべた佑奈ちゃんだったが、落ち着きを取り戻して眠った。

 矢沢さんの自宅は十一日には停電が解消、施設に二泊して帰宅できた。だが、十三日午後六時現在、市内ではまだ四千戸で停電が続く。

 博美さんは、スマートフォンで停電の解消情報や災害マニュアルを送ってくれたママ友や、駆け付けてくれた旧知の看護師らの存在も挙げ、「備えをしていたはずなのに足りなかった。いろんな人に助けられた」と感謝を繰り返した。

◆障害者らの避難受け入れ 千葉市施設、介護者の宿泊も可能

 停電の復旧が進む千葉市では、公民館などの避難所で過ごすのが難しい市内外の障害者らを受け入れている施設もある。

 同市若葉区の障害者福祉施設「千葉市桜木園」=電043(231)5865=では、自宅が停電し、人工呼吸器などの利用が困難になっている重症心身障害者や、その介護者の避難を受け入れている。宿泊も可能。

 市民の要望を受け、市も11日から、中央区千葉寺町の市ハーモニープラザ=電043(209)8825=に福祉避難室を開設。保健師1人を常駐させ、寝たきりの高齢者や障害者が過ごせるよう備えている。 (太田理英子)

 

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