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【社会】

みんな同じ命 障害ある姉弟の20年 映画に

唯織さん(左奥)と息吹さん(手前)が桜のきれいな土手を散歩している映画の1シーン=テレビ静岡提供

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 全盲の姉と重度の障害がある弟の二十年間を記録した映画「イーちゃんの白い杖(つえ)」が十九日から、東京都北区東田端二の映画館「シネマ・チュプキ・タバタ」で上映される。制作のきっかけは、二〇一六年に相模原市の障害者施設で十九人の入所者が殺害された事件。命の大切さを見つめたドキュメンタリーへの関心は高く、自主上映の動きも広がっている。 (大沢令)

監督の橋本真理子さん

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 映画は、静岡県焼津市で暮らす、生まれつき目が見えない「イーちゃん」こと小長谷唯織(こながやいおり)さん(29)が、重度の障害がある弟の息吹(いぶき)さん(27)とともに、試練を乗り越えていく姿を描く。唯織さんは盲学校でいじめを受け、将来に絶望した時期もあったが、自らの「甘さ」を気付かせてくれたのが息吹さんだった。一人で食べることも歩くこともできず、手術を繰り返しながらも前を向いて生きる弟から勇気をもらっている。

 監督は、テレビ静岡情報ニュース部長の橋本真理子さん(49)。小長谷さん姉弟を長年取材し、一九九九年と二〇一〇年にドキュメンタリー番組を制作し、FNSドキュメンタリー大賞特別賞などに選ばれている。

 姉弟の生き方を通じて命の大切さを訴えてきたが、相模原市の事件で「何も伝わっていなかった」と無力感にさいなまれたという。

 同じような事件が繰り返されないように、改めて伝えることを決意。「誰にも生まれてきた意味がある。障がい者も健常者も同じであることを感じてほしい」。病院でマッサージや指圧師の仕事をしている唯織さんと障害者支援施設に通所する息吹さんの最近の姿や、二つの番組を基に映画を制作した。映画は本年度の児童福祉文化賞を受賞した。

 映画が昨年完成して以降、全国各地で自主上映会も開かれている。沖縄県では全盲の女性が実行委員会を立ち上げ、今年六月の上映会に五百人以上の観客が訪れた。埼玉県所沢市でも十二月、福祉団体などでつくる「共に暮らすしんとこの街」実行委員会が上映会を主催する。事務局の瀬井貴生さん(68)は「地域でともに生きる障がい者を理解し、支えるきっかけになれば」と期待する。

 橋本さんは「唯織や息吹がぶつかる壁がなくなれば真のバリアフリー社会になると思う。障がい者を取り巻く課題を、この映画で少しでも考えてもらえたら」と話す。

 シネマ・チュプキ・タバタの上映は三十日まで(水曜定休)。字幕を表示し、音声ガイドは座席のイヤホンで聴ける。二十一日には上映後、橋本さんや唯織さんらの舞台あいさつがある。座席数が少ないため、予約が確実。問い合わせは同映画館=電03(6240)8480=へ。入場料は一般千五百円、シニア・学生千円など。

 

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