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【社会】

縄文貝塚むき出し 根元から木が倒れ土が露出

露出した加曽利貝塚について説明する長原亘さん=13日、千葉市若葉区で

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 台風15号の暴風による被害が千葉県内の文化財に及んでいる。神社仏閣や古民家の屋根が壊れ、史跡などの樹木が倒れるなど、三十五件の国・県指定文化財の被害が確認されている。南房総地域では停電の影響で所有者らと連絡がつかないケースがあり、被害はさらに多い可能性がある。

 千葉市若葉区にある加曽利(かそり)貝塚では、暴風で数本の大木が根元からなぎ倒され、土ごと貝塚が掘り返された。

 縄文時代中・後期の貝塚で、直径百四十メートルの環状の北貝塚と長径百九十メートルの馬てい形の南貝塚があり、日本最大級を誇る。国の文化審議会は「日本文化の象徴」と評価し、二〇一七年に国の特別史跡に指定された。古代人が食べた貝類の殻が堆積した貝塚は、重要な研究の場になっている。

 市立加曽利貝塚博物館の加納実館長は「何千年も地下で眠っていた貝層が表に出てしまった。もう昔の状態には戻らない」と肩を落とす。

 貝塚に隣接して復元した竪穴住居は屋根のカヤ材が崩れ落ち、骨組みが露出。クリやクヌギ、コナラを植えた「縄文の森」も多くの枝が折れ、伐採するしかないという。学芸員の長原亘さんは「ここまで大きな被害は初めて。何十年もかけたのに、無残な姿に悲しくなる」と嘆いた。

 千葉県教育庁文化財課によると、十三日午前九時現在、旧堀田家住宅(佐倉市)、笠森寺観音堂(長南町)など国指定・登録二十三件、県指定十二件の文化財で被害が確認されている。今後は、情報の少ない市原市以南を含め市町村の状況把握に取り掛かる。

 同課の高梨俊夫副課長は「屋根が飛んだ後に雨が降ると二次被害が心配。修理の見積もりをして、できるだけ国や県の予算措置が必要」と話している。 (林容史)

 

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