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【社会】

千葉なお2万戸 断水「長期停電、想定せず」

停電後、毎日3回の給油で動かし続けている北部第1取水井の非常用の自家発電設備=14日、千葉県多古町で

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 台風15号が関東地方を直撃して1週間。停電のため、千葉県では依然として、南部を中心に11市町で断水が続く。15日午後4時現在で約2万戸にも上り、市民生活への影響は深刻さを増している。断水が長引く自治体関係者からは「こんなに長引く停電は想定外」との声が上がるが、もともと浄水場などの水道設備の非常用電源の数が少なかったり、燃料の備蓄が少なかったり。コスト面などから災害時の備えが進まない現状が浮き彫りになった。 (太田理英子、小沢伸介、中谷秀樹、山口登史)

 「水道はたまに茶色い水が少し出る程度。あしたの希望が見えず、自分も限界」。断水が続く同県北東部の多古町で両親と暮らす押田千明さん(38)は頭を抱える。

 同町は、町営水道は十五本の井戸が水源。停電後は非常用電源を備えた三カ所の取水井しか機能せず、浄水した水をためておく配水池五カ所のうち二カ所が枯渇した。現在は東電などから発電機を借りて取水するが、需要に追いつかない。所一重町長は「あってはならない状況が次々と露呈している。危機管理の見直しが必要だ」と話す。

 最大で約一万七千戸が断水した、県と南部の木更津、君津、富津、袖ケ浦の四市でつくる「かずさ水道広域連合企業団」は、送水ポンプなどに非常用電源を設置していたが、燃料は約三時間〜一日半分。君津市では、給水車が何度も送水機能が止まった浄水場と給水所の間を往復し、いまも住民がポリタンクやペットボトルを手に列を作る。

 南房総市の場合、市営水道の三浄水場のうち、非常用電源があったのは二カ所。このうち一カ所は非常用電源が一時故障し、対応できなかった。

 このような事態は、約一年前から危惧されていた。ブラックアウト(全域停電)が発生した昨年九月の北海道地震を受け、県議会では昨秋、県内で大規模停電が起きた場合、県営水道の非常用電源の燃料備蓄が半日程度しかないことが問題視された。

 県は、県営の浄水場、給水場、取水場二十三カ所を、来年度から順次、七十二時間稼働できるよう設備の増強を始める方針だった。県内の水道事業体にも燃料備蓄などの対策を呼び掛けたが、教訓を生かし切れなかった。

 かずさ水道広域連合企業団の担当者は「老朽化した設備の耐震化を優先してきたので、長期停電まで考えが及んでいなかった」。市原市の担当者は「非常用電源はコストがかかる。燃料を備蓄しても劣化の恐れがあり、どれだけためるべきなのか」と悩ましげだ。

 防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実さんは「今回の事態で大地震などの大規模災害の対策ができていないことが明らかになった」と指摘。「これを機に、地域に手動でくみ上げられる防災井戸を確保する必要がある。大地震では停電や断水では済まず、房総半島沖地震の切迫性が指摘されているだけに、対策を急がなければいけない」と警鐘を鳴らす。

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