東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 9月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

MGC 一発勝負、駆け抜け五輪へ

 15日の「マラソングランドチャンピオンシップ」(MGC)で、2020年東京五輪の切符を手に入れたランナーたち。中村匠吾選手(26)=富士通=は恩師との絆を胸に念願の大舞台へと進み、鈴木亜由子選手(27)=日本郵政グループ=はけがを乗り越えてマラソンでは初めての五輪に挑む。

◆男子優勝の中村選手 駒大の師と二人三脚

優勝した中村匠吾選手(左)と駒沢大陸上部の大八木弘明監督=15日、東京・明治神宮外苑で(代表撮影)

写真

 師と二人三脚でつかんだ五輪の切符だった。男子の中村選手はトップでゴールを駆け抜け、出迎えた駒沢大陸上部の大八木弘明監督(61)と抱き合った。

 「よくやった。おめでとう」。師匠の言葉に「ありがとうございます」とくしゃくしゃの笑顔で応えた。

 二〇一三年、大学三年の時に東京五輪の開催が決まり、箱根駅伝六度優勝の名将、大八木監督から「マラソンで五輪を目指さないか」と声をかけられた。「監督となら、(五輪に)たどり着くかもしれない」。本気でマラソン代表を目指した瞬間だった。

 駒沢大卒業を控え、実業団の富士通から勧誘された。こだわったのが練習拠点を大学に置き、指導を仰ぎ続けること。「自分を知っているのは監督だけ。今後も大学で練習させてください」。師に思いを告げると「本気で見るから、本気でやってくれ」。厳しく、愛情のある返事だった。以降は大学の近くに部屋を借り、一人暮らし。食事は学生寮を訪れ、大八木監督の妻で寮母の京子さんの手料理を食べる。

 九年の師弟関係。大八木監督は「無口で芯が強い子。来年はもっと重圧がかかる。つぶされないように支えたい」。中村選手は「監督に一つ恩返しができた。五輪へしっかり準備する」と師弟で新たな目標を見据えた。 (森合正範)

◆女子2位の鈴木選手 リオの雪辱へ第一歩

ゴール直後、母由美子さん(左)にねぎらわれる鈴木亜由子選手=15日、東京都港区で

写真

 ほろ苦い思いで占められた五輪の記憶を、一から塗り替える舞台は整った。トラック種目で挑んだ二〇一六年リオデジャネイロ五輪に続き、マラソンで日の丸を背負うことになった鈴木選手。けがに泣いたリオの教訓を生かし、自国開催のひのき舞台で雪辱を期す。

 厳しいレースで、最後の瞬間だけは会心の笑みを見せた。「五輪で戦いたいという思いが、最後までゴールに足を運んでくれたのかな」

 5000メートルと1万メートルで代表入りしたリオ五輪。直前に左足を痛め、1万メートルを泣く泣く欠場した。テレビで眺めたレースは、けがに悩む自分とは縁遠い「別世界」。5000メートルも予選敗退に終わった。力を出し切れないつらさ。「終わった後はすがすがしい思いでいたい」と痛感し、それまで以上にケアを徹底した。母の由美子さん(56)は「うちにいる時もじっとしている時間がない」と振り返る。

 たまの帰省では、実家の愛知県豊橋市から一時間かけて名古屋の治療院へ。すべてはリオと同じ思いをしないため。より良い状態でレースを迎えることを最優先に生活してきた。

 けがはつきもの。だが、見守る由美子さんは「近頃はけがが減ってきた」と感じる。五輪切符は通過点。ストイックに自らを律して、二度目の五輪へ着々と歩を進める。 (佐藤航)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報