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【社会】

谷中 街並み守れ 台東区など高さ制限緩和検討

高さ制限の緩和が検討されている都道の一部「朝倉彫塑館通り」=東京都台東区谷中で

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 昔ながらの寺町風情が残る東京・谷中(やなか)地区(台東区)の一部で、区などが建築物の高さ制限の緩和を検討している。住民らは「マンションが林立するのでは」と懸念し、伝統的な街並みを守るよう区に陳情した。区は、開会中の区議会定例会で方向性を示す見通しだ。 (天田優里、写真も)

 高さ制限緩和が検討されているのは、JR上野駅から谷中霊園に沿って、日暮里駅や地下鉄千駄木駅へ延びている計約三千五百五十メートルの道路沿いの一部地域。

 沿道には、文化勲章受章者で彫刻家の朝倉文夫の自宅兼アトリエだった区立朝倉彫塑館▽山岡鉄舟にゆかりがあり幽霊画のコレクションで知られる全生庵(ぜんしょうあん)▽幕末の戯作者仮名垣魯文の墓がある永久寺−などがある。古い街並みを生かしたカフェなども多く、街歩きスポットとして人気がある。

 これらの道路は大部分が都道で、将来、拡幅する都市計画道路に設定。周辺の建築物は、高さ十メートル(三階建て)までに制限されてきた。

 しかし都などは二〇〇四年三月に策定した「都市計画道路の整備方針」に基づき、交通量が少ないことなどから「拡幅の必要性がなくなった」と判断。一五年に都市計画を見直し、これら道路を拡幅対象から外す手続きを始めた。正式に決定されれば、同方針に基づく高さ制限が撤廃される。

 台東区は、この地域の高さ制限を含めた新たな地区計画を策定する。計画素案によると、住宅地区の高さ制限が十二メートル、商業・住宅地区は二十メートルで、これが適用されると、これまで三階建てまでしか建てられなかった道路周辺に最大で六階建ての建設が可能になる。

 対象地域の一部は、防災上の不燃化特区にも指定されており、建て替え助成金が支払われる制度もある。

 この素案に対し、下谷仏教会など地元三団体が、陳情書を区に提出。「谷中地区のビル化が進み、価値ある寺町と街並みを守ることが難しくなる」と訴え、再検討を求めている。

 陳情した団体の一つ「谷中を継ぐ会」会長ですし店店主の野池幸三さん(92)は「谷中の伝統的建築物を守ることに区は力を入れてほしい」と要望する。

 谷中地区を含む「谷根千」の話題を地域雑誌に記録してきた作家の森まゆみさん(文京区)は「戦災や震災を乗り越えた谷中の街を残してほしい」と訴え、インターネット上で署名活動を続けている。

 区地域整備第三課の担当者は「住民の意見を踏まえ、朝倉彫塑館通りについては(地区計画の)修正を検討している」と話している。

 区は今月二十六日の区議会委員会で、修正内容の報告を行うとみられる。

<谷中地区> 江戸時代から400年続く、東京最大の寺町。文京区の根津、千駄木地区と合わせて「谷根千地区」と呼ばれる。関東大震災、戦災前からの伝統的な街並みが残る地域として、年間約300万人が訪れる観光地となっている。レトロな商店街も人気がある。

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