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【社会】

「ワールドカップ」使わないで 組織委要請…盛り上がり大丈夫?

 二十日開幕のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会を控え、組織委員会が飲食店などに「ワールドカップ」の文言を使わないように呼び掛けている。大会関連用語は知的財産で、主催者やスポンサーのみが使用できると主張。来年の東京五輪にもつながる規制に対し、専門家は「法的な根拠は薄い」と疑問視している。(原田遼)

ラグビー日本代表壮行会のポスター。協賛した製薬会社はW杯公式スポンサーでもあるが、主催が協会のため、大会名表記を自粛した(日本ラグビー協会提供)

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 「世間はW杯があることすら知らないのでは」。そう嘆くのは東京・新橋などでスポーツバーを展開する運営会社。サッカーW杯に比べ、試合日の予約が少ないという。大々的な告知や割引セールをやりたいが、組織委に「大会名は使わないで」とくぎをさされている。店先の立て看板には試合の上映予定を「二十日、ラグビー日本戦」などと、大会名を外して書いた。

 「ラグビーワールドカップ」や「Japan2019」などの用語は、主催する「ワールドラグビー」(WR)の関連法人が商標登録。組織委は具体例は示さず、「不正使用は商標権侵害の可能性がある」と自治体などを通じて注意している。大会名を掲げた店で、ライバル社のビールが売れれば、スポンサーのビール会社が多額の協賛金を出す理由がなくなる、という理屈だ。

 主役の日本代表も例外ではない。七日に都内で有料開催した壮行会のポスターには「日本代表 決起会」とだけ。主催した日本ラグビー協会はWRと別法人のため、組織委に大会名を外すように要望され、自粛したという。ファン以外にはいったい何の決起か不明だが、協会は「ルールなので仕方ない」。

ラグビーW杯組織委員会が使用を規制する用語(東大阪市のホームページより)

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 こうした規制は東京五輪でも同様だ。五輪組織委は大会名に加え「東京2020」「聖火」「がんばれ!ニッポン!」なども商標登録。ホームページでは、これらを使用すると「十年以下の懲役または一千万円以下の罰金」という商標法違反の罰則まで紹介する。

 しかし、そもそも大会名や関連用語が規制される対象なのか。著書「オリンピックVS便乗商法」があり、一級知的財産管理技能士の友利昴さんは(37)は「過去の判例から、大会名など事実を表現するだけでは商標権の侵害にならないという法解釈が主流」と指摘。

 五輪をめぐる知的財産の訴訟では、組織委などが負ける例も多い。

 五輪組織委は本紙の取材に「社会的波及の大きさなどを考慮しながら事案に対応しているが、商標の用語を使ったら全て違法というではない」と認める。

 友利さんはラグビーと五輪の両組織委の対応について「使用すると全ての活動が違法になるかのような印象を与え、悪質」と批判。「街全体が盛り上がれば、最終的にスポンサーの利益にもつながる。公正な活動まで阻んではいけない」と強調した。

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