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【社会】

台風15号 特産スギ病気で被害拡大 幹が腐り空洞化、倒れやすく

「中が腐って柔らかくなっている」と病木を示す豊増洋右さん=いずれも18日、千葉県市原市で

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 台風15号による大量の倒木が停電復旧を阻んでいる千葉県で、特産の「山武杉(さんぶすぎ)」に長年病気がまん延し、被害拡大につながった可能性のあることが、県などへの取材で分かった。県は以前から病気による倒木の危険性を把握していたが、伐採事業などの対策の成果は十分に出ていなかった。専門家は「まだ倒木“予備軍”が残っており、早急な対策が必要」と警鐘を鳴らしている。 (小倉貞俊)

 道路脇に撤去された倒木が積み重なり、台風の爪痕を残す千葉県市原市のスギ林。多くの木々が根元からではなく、地上数メートルの部分で折れていた。高所の電線に引っかかったままの倒木も目立つ。「幹の外側に筋ができて、中はスカスカ。みな溝腐病(みぞぐされびょう)にかかっているスギですね」と、地元で農業を営む豊増洋右さん(43)が指さす。目についた倒木は道路や畑から撤去しているが追いつかない。「弱くなってるとは思っていたが、こんなに一度に折れてしまうなんて」と声を落とした。

 台風15号では、県内全域で発生した倒木により、電線や電柱が損傷したほか、道路がふさがれて現場に近づけず、停電からの復旧を妨げている。

 県によると、中折れしたスギの多くは、県内のスギ林面積の四分の一(約九千ヘクタール)を占める県特産の山武杉。「非赤枯性(ひあかがれせい)溝腐病」はこの山武杉に特有の樹病だ。「チャアナタケモドキ菌」が原因で、幹が腐って空洞化し、倒れやすくなる。県の二〇一七年度調査では、山武杉の林の八割にまで被害が及んでいた。

 林業が衰退する中、所有者による間伐などの管理が行き届かなくなり、一九九〇年代から被害が表面化してきた。県は山林所有者に補助金を出して伐採・搬出を促しているが、罹患(りかん)した木は商品価値が下がるため、ほとんど手つかずのままだ。県の担当者は「近年の伐採面積は、年間十数ヘクタールほどにとどまっている」と説明する。

 県も東京電力も、今回の台風による倒木の規模や実態は「把握できていない」としているが、県内の被災山林を見回った森林ジャーナリストの田中淳夫さんは「中折れしたスギは明らかに多かった。腐っているのでもろく、高所での撤去作業は危険度が増し、災害復旧を難しくしている」と指摘する。

 昨年成立した森林経営管理法では、首長が土地所有者に災害防止のための伐採を命じることができるようになった。田中さんは「今のうちに、道路沿いや電線のそばにあるスギを確認し、事故防止のため取り除くべきだ」と提案した。

中ほどから折れ、電線に引っ掛かるスギ

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