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【社会】

東電旧経営陣無罪判決 取るべき対策あったはず

<解説> 強制起訴された東京電力の旧経営陣三人に無罪を言い渡した東京地裁判決は、大津波の襲来をうかがわせる試算の根拠の信用性を否定し、「大津波は予見できなかった」と結論づけた。判決は原発の運転を止めなければ事故は防げなかったと認定したが、本当に三人が取るべき対策はなかったのか。

 市民からなる検察審査会が「起訴すべきだ」と判断したことで実現した公判。不起訴のままなら闇に埋もれていた事実が次々と判明し、津波試算を得た現場社員が上層部に対策を迫っていたことが明るみに出た。

 結局、ほぼ試算通りの高さの津波が原発を襲った。旧経営陣が現場社員の警告に真摯(しんし)に耳を傾けていれば、原子炉を冷やすための電源を高台に移すなど次善の策は取れたはずだ。そうすれば原発の運転を止めなくても被害は軽減できたに違いない。

 組織の規模が大きくなるほど、トップら個人の過失責任は認められにくい。トップが事故の危険情報に敏感に反応し、より危機感を持って対応に当たるためには、組織自体を罰する制度の創設も検討すべきではないか。

 判決は東日本大震災以前は社会通念上、原発事故のリスクについて「絶対的安全性の確保までを前提としてはいなかった」と言及した。無罪判決の背景に、安全神話の追認があるとしか思えない。 (池田悌一)

 

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