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【社会】

千葉のALS患者、台風停電で命の危機 「備えの大事さ痛感」

文字盤を使ってコミュニケーションをとる津田英子さん(左)と夫の英伸さん=14日、千葉市花見川区で

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 全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」患者の津田英子さん(75)は、千葉市花見川区の自宅で台風15号による停電を経験した。人工呼吸器を外部電源なしで動かせるのは約二十時間。熱中症に近い状態になり、命の危機も感じた。大事には至らなかったが、夫の英伸(えいしん)さん(77)は「備えが大事と痛感した」と話す。

 人工呼吸器、たんの吸引器、意思疎通のための文字入力装置−。英子さんの生活を支える機器は全て電気が必要だ。「電動ベッドが動かず、しんどかった」。センサーの付いた左手の指をわずかに動かし、英子さんが入力した文字がパソコン画面に表示された。「不安でしたか」との問いに、大きくうなずいた。

 二人が暮らすマンションが停電したのは九日の明け方。アラーム音とともに人工呼吸器が内部電源に切り替わった。冷房は消え、英子さんのベッドに敷いていた電動の冷却マットも停止。英伸さんが水の確保や家族らへの連絡に奔走する間、暑さで英子さんの体調はみるみる悪化し、午後二時ごろには体温が三八度近くになった。

 その後、普段利用している訪問看護所の系列病院に移ることが決まり、最悪の事態は回避できた。ただ、エレベーターが動かず、救急隊員が英子さんを大きな布に乗せ、自宅のある五階から一階まで階段で運んだ。

 「命に関わる人工呼吸器が一番心配だった」と英伸さん。呼吸器の内部電源がもつのは十数時間で、自宅には十時間の予備電源が一個あるだけ。今回は停電から半日ほどで病院に移ることができたが、自宅に電気が通ったのは十一日午前だった。今後は予備電源を増やすことを考えている。

 十三日に自宅に帰り、日常を取り戻した後も、英伸さんは「もし、これが大地震だったら」と想像してしまう。けがをしたかもしれず、救急隊員がすぐ駆け付けられない可能性もある。「頭で分かっていても、災害を体験すると違う。近所付き合いを含め、助け合える態勢を考えないといけない」と力を込めた。

 

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