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【社会】

かげニャがら浅草支えてます 演芸ホール 看板ネコ

お客さんが来ても寝転んだまま。自由気ままな看板猫の「ジロリ」=いずれも東京都台東区の浅草演芸ホールで

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 東京都内で人気の落語の定席「浅草演芸ホール」(台東区)を陰ながら支えているネコがいる。推定五〜六歳の雄で、名前はジロリ。ネズミ退治と、テケツ(切符売り場)での接客が主な仕事だ。もともとは保護された野良ネコ。その愛らしさからじわりと人気を集め、書籍にも登場。寄席の看板ネコは、ホールの外にも笑顔を広げている。 (天田優里)

 チケットを求める客で、にぎわうテケツ。ガラス越しに、銀色の毛に覆われたジロリが客を出迎える。たまに円い窓から顔をのぞかせ、しま模様の腕を伸ばしてチケットを渡す。

 興行日の午前十一時と午後五時ごろ、テケツに現れることが多い。夫と演芸ホールを訪れた岐阜市の主婦伊藤千恵さん(62)は「昨年撮影したジロリくんの写真を携帯の壁紙にして、和んでいる」と笑顔を見せた。

 ホールに来たのは、二〇一六年八月。先代のネコが高齢で引退し、すみ着くネズミの被害に悩まされていた。ホールのスタッフで世話係の根立雅恵さん(45)らが、求人ならぬ「求ネコ」活動していると、出演者が野良ネコを保護していると情報が入った。

 ジロリは他のネコには攻撃的だったが、初対面の根立さんの膝に飛び乗ってくるなど人なれしていた。「捨てられたのかな」と根立さん。人が大勢出入りするホールにはうってつけと確信し、ジロリをすみ込みで採用した。

 「キジトラとアメリカンショートヘアのハーフかな」と根立さん。緑色の瞳でジロリと周りを見渡すことから名付けられたという。テケツで昼寝しがちなジロリだが、スタッフらが帰宅した夜中にホール内をくまなく巡回し、本業のネズミ捕りに精を出す。これまでに六匹のネズミを仕留めた。寂しがりらしく、毎朝玄関で根立さんが来るのを待って、甘えるという。

 ジロリは落語家や講談師らとも仲良し。二年前に出版された「浅草演芸ホールの看板猫 ジロリの落語入門」(河出書房新社)で、「笑点」(日本テレビ)でおなじみの三遊亭小遊三さんらと一緒の写真に納まり、落語家の生活、寄席の仕組みなども紹介している。

 「いかにもネコらしく、ツンデレなところがいい」と、ジロリをかわいがっている落語芸術協会副会長の落語家、春風亭柳橋さん(63)。「最近は急にスターになっちゃって、われわれ出演者は羨望(せんぼう)のまなざしを向けている」とジェラシーも? 根立さんは「ジロリは気まぐれなので、寝ていても温かい目で見ていただければ」と呼び掛けている。

チケット売り場で客を出迎える「ジロリ」

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