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【社会】

千葉罹災証明遅れ 生活再建にも影 自治体人手不足 家屋調査進まず

千葉県南房総市内の民家2階で、住人の男性(左)とともに損壊の程度を確認する市職員の小沢一宏さん=山口登史撮影

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 台風15号による千葉県内の建物被害を巡り、被災者が公的支援を受けるために必要な「罹災(りさい)証明書」の発行が進んでいない。自治体の人員不足で、損壊の程度を確認する家屋調査にまで手が回らないためだ。調査結果によって支援金額も変わり、被災者から「生活再建の見通しが立たない」と困惑する声が上がっている。 (小倉貞俊、山口登史、丸山将吾)

 「隣家の屋根がずれてきて、窓を突き破ったんですね」。二十日、深刻な台風被害を受けた南房総市の富山地区。罹災証明書の発行を担当する市職員の小沢一宏さん(51)ら二人が、屋根をブルーシートで覆った木造住宅で、住人の男性(53)から聞き取りをしていた。割れた窓ガラスが散らばり、天井はかびだらけ。湿った畳はぶかぶかの状態。小沢さんたちは損壊具合を撮影して評価シートに書き込んだ。評価シートは複数の職員で「全壊」「半壊」など損壊の程度を判定し、一週間以内には証明書を発行する。

 ただ、同市にはすでに二千件を超す申請があり、担当職員が八班体制で損壊住宅の調査にかけ回っているが、一班がこなせるのは一日に十軒ほどと追いついていない。「調査が一カ月先になる人もいる。なるべく早く発行したい」と小沢さん。市役所に申請に来た六十代の女性は「屋根が吹き飛び雨漏りがひどい。修理費用は自力でまかなえないので、早く証明書がほしい」と切実に訴える。

 千件以上の申請が寄せられた館山市では、ようやく被災者への救援物資の配給が一段落したばかりで、家屋調査は手付かず。「週明けから他の自治体に職員を派遣してもらい、急ピッチで被災家屋の調査に回る」と担当者。住民の五十代男性は「支援金をどれくらい受けられるのかは、判定を受けてからでないと分からない。生活再建の見通しが立たない」と不安げ。

 一方、東庄町や多古町のように、すでに申請された分のほとんどを発行し終えている自治体もある。二〇一六年の熊本地震で、罹災証明書の発行に数カ月もかかった教訓から、国は「一部損壊」の家屋に限っては被災者が持参した写真を基に、簡易判定ができるようにした。両町とも、軽い被害なら現地調査をせず、即時発行で対応している。

 だが、半壊以上の場合は現地調査が不可欠。ある自治体の職員は「被災者が先に修繕した場合、家屋調査しても実際の被害が判然とせず、判定に納得してもらえないなどのトラブルも起きかねない」と危惧する。家屋調査の迅速化を呼び掛けている内閣府の防災部門の担当者は「自治体は被災者と相談して柔軟に対応してほしい」と話している。

◆100万円上限に支援金

<罹災証明書> 大規模災害で家屋が被災した際、公的支援を受けるために必要。被災者の申請を受けた市町村が、職員による現地調査などで家屋の損壊状況を確認。「全壊(50%以上)」「大規模半壊(40%以上)」「半壊(20%以上)」「一部損壊」などと判定し首長が発行する。半壊以上は応急修理費用(上限58万4000円)、大規模半壊以上は生活再建支援金(上限100万円)が受けられる。一部損壊でも、所得税の一部が軽減される措置などがある。

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