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【社会】

囲碁・全棋士参加の竜星戦 17歳上野、女性初V逃す

竜星戦決勝で対局する一力遼八段(右)と上野愛咲美女流棋聖=23日、東京都千代田区の日本棋院で

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 囲碁の第二十八期竜星戦の決勝が二十三日夜、東京都千代田区の日本棋院で打たれ、全棋士に参加資格のある一般棋戦で女性として初の決勝に臨んだ上野愛咲美(あさみ)女流棋聖(17)は一力遼(いちりきりょう)八段(22)に敗れ、惜しくも優勝を逃した。一般棋戦での女性棋士の準優勝は史上初の快挙となる。 (樋口薫)

 一力八段は七大タイトルに五回挑戦している若手強豪。昨年の竜星戦や今年のNHK杯で優勝するなど、持ち時間の短い棋戦が得意な「早碁のスペシャリスト」。黒番の上野女流棋聖は中盤、白番の一力八段の大石を取り切って勝ちを手中にしたかと思われたが、痛恨のミスが出て白石が生き、一力八段が間一髪での勝利を収めた。

 終局後、上野女流棋聖は「間違えちゃいました。でも、ここまで来られたのが奇跡でした」と語った。二連覇となった一力八段は「投了寸前だった。運が良かった」と振り返った。

 囲碁界では、女性棋士も七大タイトル戦のほか、一手三十秒未満(一分単位の考慮時間各十回)で打つ竜星戦などの一般棋戦に参加資格があるが、これまでベスト8が最高成績だった。

 上野女流棋聖は今期、竜星戦決勝トーナメントで、いずれも七大タイトル経験者の高尾紳路(しんじ)九段(42)、村川大介十段(28)、許家元(きょかげん)八段(21)を破り、女性として初めて決勝に駒を進めていた。決勝戦はCS放送で異例の生放送が行われるなど、注目が集まっていた。

◆「ちょっと悲しい、でも満足」

 「取れそうにない石が取れそうになって、動揺してしまいました」

 痛恨の失着で勝利を逃した直後とは思えない、たおやかな笑顔で激戦を振り返った。一般棋戦の竜星戦決勝で敗れ、準優勝となった上野愛咲美女流棋聖。並み居る強豪を連破しての女性初の快挙にも「ちょっと悲しい感じですが、満足しています」と謙虚に語った。

 棋風は見る者を楽しませる「戦いの碁」。囲碁は碁石で囲った陣地の広さを競うゲームだが「昔から相手の石を取るのが大好き」。プロの対局では石の大群が取られることはまれだが、隙あらば大石を仕留めようと戦いを仕掛ける。付いた異名は「殺し屋」。驚異的な破壊力から「ハンマーを振り回すような攻め」とも評される。この日の決勝も「この大石を狙っているのか」と検討陣を驚かせ、勝利にあと一歩まで迫った。

 勝負度胸も満点だ。大舞台でも「ほとんど緊張しない」。決勝でも一力遼八段が「大一番をこれだけ自然体で打てるとは」と驚くほど、臆さず渡り合った。

 好戦的な棋風と逆に、盤を離れればあっけらかんと朗らか。囲碁の勉強に打ち込む毎日だが「気晴らしはボルダリングやバッティングセンターに行くこと。ダンスも大好き」と、女子高生らしさものぞかせる。

 次は女性初の一般棋戦優勝、そして七大タイトル制覇に期待がかかる。「こんなに写真を撮られる機会はなかなかないのでとても幸せ。次も頑張ろうと思います」と、にこやかに決意を述べた。 (樋口薫)

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