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【社会】

避難生活、食べる癒やし 「防災スイーツ」横浜の洋菓子店開発

完成したばかりの防災スイーツを見せる吉田社長=横浜市金沢区で

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 災害時こそ、スイーツでひとときの安らぎを−。横浜市の洋菓子店「ガトー・ド・ボワイヤージュ」が三年間備蓄できる「防災スイーツ」を開発した。「避難生活は長期間に及ぶこともある。スイーツを食べてリラックスしてほしい」と吉田三喜雄社長(70)。台風15号の被害に遭った千葉県館山市にも送り届けた。 (福浦未乃理)

 防災スイーツはクッキーに似た焼き菓子「ガレット」で、一袋十個入り。一個の大きさは直径四センチほど。包装にアルミ製の袋を使い酸化の原因になる紫外線を通さずに長期保存を実現した。

 開発のきっかけは二〇一一年の東日本大震災。店の洋菓子を被災地に送ったところ、沈んでいた避難所の雰囲気が明るくなったと聞いた。「お菓子じゃ腹の足しにならない」という声もあったというが、「必要としている人はいる」とアイデアを温めてきた。

 本格的に開発を始めたのは二年前。プロとして「備蓄用でも味は譲れない」とこだわり、小麦粉と比べて口の中の水分を奪わない粉末状のアーモンドをたっぷり使い、「ポロポロ、さくっ」とした食感を出した。

 缶詰だとけがをする人もいると聞き、パッケージはプラスチック製容器に。食べた後も水や食品の保存に使えるように、チャックを付けた。裏面には災害用伝言ダイヤル(171)の使い方を記載した。

 完成して間もない今月九日、台風15号が関東地方を襲った。高波で横浜市金沢区の自社工場一階は浸水し、製品を運ぶエレベーターが停止した。それでも「困ったときはお互いさま」と考え、被害の大きい千葉県館山市に防災スイーツの寄贈を持ち掛けた。市側は「食料の物資は足りているが、お菓子は喜ばれると思う」と歓迎。吉田社長の次男翔さん(29)が市社会福祉協議会を訪れ、六百袋を手渡した。

 「このタイミングで完成できて良かった。被災者を勇気づけられたら」と吉田社長。現在は保存期間を五年に伸ばす改良や、食物アレルギーのある人も食べられるよう小麦粉やバター、牛乳、卵を使わないガレット作りに取り組んでいる。

 防災スイーツは、バニラ味とチョコレート味の二種類。いずれも一袋五百円(税抜き)。馬車道本店(横浜市中区)とインターネットで販売中。問い合わせは同社本部=電045(786)4400=へ。

パッケージの裏面には災害用伝言ダイヤルの使い方が記載されている=同市中区で

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