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【社会】

鉄柱撤去いつ…憤る住民 天井に穴 雨水でカビ「もう住めないかも」

住宅を直撃し、2週間以上撤去されずに放置されているゴルフ練習場の鉄柱=いずれも23日、千葉県市原市で

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 台風15号の強風でゴルフ練習場の鉄柱が倒壊した千葉県市原市の現場は、今も鉄柱が住宅を押しつぶすように倒れたままになっている。被害から二週間以上たったが、撤去の見通しは立っておらず、避難生活を送る住民は「いつまで、このままなのか」といら立ちを募らせる。 (岡本太)

鉄柱の残骸をよけながら、自宅から荷物を運び出す細野実さん

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 「早く撤去しないと、さらに崩れるかもしれない。なぜこんなに時間がかかるんだ…」。住民の細野実さん(62)は、自宅の二階に食い込み、ひしゃげた鉄柱を見上げた。ここに住んで十六年。「もう住めないかもしれない」とため息をついた。

 被害があったのは九日未明。練習場のネットを固定する高さ三十〜四十メートルの鉄柱十数本が強風にあおられ、幅百十メートルにわたって十数軒を覆うように倒れた。ほとんどの住宅で屋根や二階部分などが大破した。

 細野さん宅は鉄柱一本が二階の寝室を直撃。布団で就寝していた妻の横約一メートルに、鉄柱が突き破ってきた。一階にいた細野さんはすぐに二階に上がり、妻を救出。「天井に穴があり、真っ暗な空が見えた。なにが起きたのかしばらく理解できなかった」。二階の別室にいた長男は無事だった。

 放置された鉄柱のため、自宅前の市道もふさがれたまま、車で近づくことすらできない。「穴の開いた二階寝室には雨水がたまり、カビが広がり始めています」。一家は今、市内にある妻の実家に身を寄せている。

 複数の住民によると、練習場の経営者の女性は十一日、詰め掛けた住民に対し、鉄柱を撤去すると説明したが、その後、具体的な日程などは示されていない。経営者は二十四日、本紙の取材に「撤去をする考えはあるが、日程などについて今の段階で言えることはない」と話した。

 市原市によると、二十一日には業者による現地調査が行われた。住民によると、解体業者による住民向けの説明会が二十六日夜に開かれる予定だという。

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◆経営者側一転「補償できない」

 被害を受けた住宅の補償は、生活再建に向けた大きな課題となる。複数の住民によると、練習場の経営者は当初、「住宅の修繕費なども補償する」と説明したが、後日、練習場運営会社の代理人弁護士が「自然災害なので補償できない」と態度を転換。住民の不安を加速させている。

 不動産トラブルに詳しい秋山直人弁護士によると、今回のケースでは、鉄柱やネットの管理に不備や過失があったかが、損害賠償責任の有無を分けるという。

 現在、国土交通省などが倒壊の原因について調査しており、その焦点の一つが施設の老朽化だ。今回の倒壊では、鉄柱とコンクリートの基礎部分を固定するボルトが複数の場所で破断しており、練習場側が適切な点検や管理を行っていたかが、問われることになる。

 台風15号では、市原市と隣接する千葉市中央区で観測史上一位の最大瞬間風速五七・五メートルを観測。通常の予想を超える暴風が原因で倒壊したと判断されれば、損害賠償を請求することは難しくなる。

 仮に練習場側に損害賠償責任を問えない場合、住民は火災保険で対応することになるが、補償の範囲は保険の契約内容によってさまざま。住宅に被害を受けた住民の男性は「駐車場から車を出せず、レンタカー代もかさんでいる。保険がどこまで適用されるか不安だ」と話した。

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